2019 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍関連マクロファージ/ミクログリアの分極化制御によるグリオーマの増殖抑制
Project/Area Number |
19K16725
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
中野 洋輔 関西医科大学, 医学部, 助教 (40776530)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ミクログリア / グリオーマ / 腫瘍関連マクロファージ/ミクログリア / 癌幹細胞 / 腫瘍微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳に発生するグリオーマは、腫瘍関連マクロファージ/ミクログリア(TAM)によって保護され、集学的治療を施しても予後が非常に悪い。申請者は、グリオーマと腫瘍微小環境を多層の構造物(グリオーママルチレイヤー)としてとらえ、腫瘍組織と正常組織の境界付近で炎症性のM1型ミクログリアが一過性に増加すること、さらには、腫瘍形成能が高い細胞株では、M1型ミクログリアが少ないことを明らかにした。本申請課題では、TAMを構成するミクログリアのサブタイプに着目し、ミクログリアの分極化を制御することで、グリオーマの進展抑制を試みた。 初年度では、グリオーマ細胞株U87MGと、そこから樹立したグリオーマ癌幹細胞様細胞株U87-CSCを、マウスの脳実質内にそれぞれ移植し、グリオーママルチレイヤーモデルを作製した。免疫組織化学法により、同モデルにおけるM1型マーカー(Iba1,CD86)とM2型マーカー(CD206)の局在を調べた結果、U87-CSCから発生した腫瘍組織内で、CD206陽性細胞が多数みられた。また、このCD206陽性細胞の腫瘍組織内における密度は、腫瘍組織の進展に相関して経時的に上昇することが明らかとなった。 一方で、リポ多糖(LPS)とインターロイキン4を用いた分極化誘導試験は、LPS投与条件検討のパイロット実験の段階で、マウス脳室周囲器官においてパターン認識受容体の一種に特異な反応がみられたため、別の試薬を用いた同等の実験系を再構築することが必要であった。今後の改善策として、M1型ミクログリア分極化阻害剤であるミノサイクリンの使用を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
グリオーマの進展過程におけるミクログリアのサブタイプ解析は概ね計画通りに進行したが、ミクログリアの分極化を誘導する実験において、LPSが脳室周囲器官の炎症応答経路に与える影響が大きかったため、実験系の再構築が必要となった。また、LPSにより誘導される脳室周囲器官の炎症応答反応は、学術的にも重要であるだけでなく、本研究課題の更なる進展が見込めるため、当初の研究計画に追加して研究を実施する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、予定通りにミクログリアの初代培養系を構築し、in vitroにおけるU87-CSCとミクログリアの相互作用解析を実施するとともに、本年度で達成できなかったin vivoにおけるミクログリアの分極化誘導試験も併せておこなう。 COVID-19による影響も考慮の上、本研究課題の期間延長も視野に入れ、完遂を目指す。
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Causes of Carryover |
ミクログリアの分極化を誘導する実験において、実験系の再構築が必要となったため、当初計画していたin vivo実験で使用する予定だった試薬や実験動物を購入しなかった。次年度使用額は、本年度で実施することができなかった分極化誘導試験を遂行するために使用する予定である。
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Research Products
(2 results)