2019 Fiscal Year Research-status Report
PHLDA3遺伝子とMEN1遺伝子による神経内分泌腫瘍抑制機構の解明
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19K16732
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
陳 ヨ 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 特任研究員 (40838900)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | neuroendocrine tumor / Akt / PHLDA3 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ヒト神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor;以下NET)症例の解析及びNET動物モデルの作製を通じた、NET発症メカニズムの解明とNETの新規診断法・治療薬の開発である。我々は、機能未知であったPHLDA3遺伝子が、新規のAkt抑制因子である事を見いだし、肺、膵臓及び直腸のNETにおいて、がん抑制遺伝子として機能している事を明らかにした(Cell, 2009、PNAS, 2014、 Scientific Reports, 2018)。我々は、PHLDA3が様々な組織に発症するNET共通のがん抑制遺伝子であり、PHLDA3によるAkt抑制がNET抑制において中心的な役割を持つと考えている。そのため、本研究を進める事により、組織を超えたNET共通のがん抑制メカニズムの解明ができ、さらには、共通のNET抑制経路を明らかにすることにより、各種の希少NETを統合して扱うことが可能となり、NET治療薬の適応拡大及びNET患者の個別化医療に貢献できると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々はPHLDA3遺伝子単独欠損マウスとNETのがん抑制遺伝子であるMEN1遺伝子の単独欠損マウスを掛け合わせ、ヒト膵NETのゲノム異常を模倣するモデルマウスを作製した。また、これまでに我々はヒト下垂体NET症例を希少な症例を含む110症例以上収集した。これらの症例においてPHLDA3遺伝子の異常が認められるか解析を行った。さらに、PHLDA3単独欠損マウスを用い、神経内分泌器官である下垂体に異常及びNETの発症が認められるか解析した。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト膵NETのゲノム異常を模倣するPHLDA3とMEN1を同時に欠損した二重欠損モデルマウスの作製が完了したので、今後二重欠損マウスにおいて早期に高悪性度の膵NETの発症が認められるか解析する。また、二重欠損マウスを用い、PHLDA3及びMEN1両遺伝子の膵NET発症及び悪性化との関連性を調べ、膵NET発症に関わる詳細な分子機序を解明する。 PHLDA3単独欠損マウスにおいて、下垂体の異常あるいはNETの発症が認められた場合、発がん及びがんの悪性化機序の詳細な解析を行う。 PHLDA3単独欠損マウスを用い、膵ランゲルハンス島、下垂体以外の神経内分泌組織に異常が認められるか解析する。さらにはNETの発症が認められるか詳細に検討する。
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Causes of Carryover |
マウス飼育の関係で次年度使用額が生じた。翌年度の助成金はマウス飼育費、マウス解剖器具と機材、試薬類、プラスチック類などの消耗品及び人件費として使用する。
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