2020 Fiscal Year Research-status Report
血球分化の各階層のクロマチン構造データを用いた成人T細胞白血病発症機構の解明
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19K16740
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 梓 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特別研究員 (70749796)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 成人T細胞白血病 / クロマチン |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は英国での在外研究を予定していたが、新型コロナウイルスの世界的流行の影響で渡英は断念した。また、途中で3ヶ月間の研究中断を行い、それ以降もコロナによる影響でリモートワークが続き実験を行うことが難しかった。また、時期によっては試薬などが手に入らないこともあり、計画通りの実験を行うことが困難であったため2020年度はデータ解析を中心として研究を進めた。実験をほぼ行えない状態であったため、試薬購入も行うことがなく、利用実績は0円であるが研究自体は解析を中心として進めることができた。 本研究では成人T細胞白血病ウイルスにより引き起こされる成人T細胞白血病 (ATL) の腫瘍細胞ではクロマチン構造にどのように異常が起きているのかを明らかにするための研究を進めている。クロマチン構造を解析するためにすでに29例のATL症例のATAC-seqデータを取得済みである。それらのデータと健常人由来の様々な血球分画との比較解析を行う必要があるが、既存の解析手法では様々な制限があるため、比較解析のための手法開発を行い論文として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、(1) 手法の開発と、(2) その手法を用いた成人T細胞白血病 (ATL) 細胞の解析の2つにわけることができる。 本年度はコロナによる影響を受け、リモートワークが続いたり、研究中断した時期があったため実験的検証を必要とする(2)に関してはやや進展が遅れている。しかし、(1)に関しては昨年度までに完了し、論文として報告することができたため概ね順調と判断した。(2) に関しても必要なATL症例のデータは揃っており、解析結果もほぼまとまり、論文化へと進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
健常人由来の細胞との比較解析から、成人T細胞白血病細胞に特有のクロマチン構造が複数みつかっており、2021年度はそれらの意義を実験的に検証する。具体的にはATL細胞で特異的に機能していると考えられる転写因子をノックダウンし、遺伝子発現が増殖など細胞の機能にどのような影響があるのかを調べる。
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Causes of Carryover |
新型コロナの世界的流行に伴い、在外研究が行えなかったこと、リモートワークに対応するため、研究をデータ解析中心にしたこと、試薬が入手困難となってしまったことなど様々な理由から2020年度は試薬や旅費に研究費を使うことがなかったため。
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