2021 Fiscal Year Annual Research Report
血球分化の各階層のクロマチン構造データを用いた成人T細胞白血病発症機構の解明
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19K16740
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 梓 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特別研究員 (70749796)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 成人T細胞白血病 / クロマチン / エピゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
成人T細胞白血病 (ATL) は、ヒトT細胞白血病ウイルス (HTLV-1: Human T-cell Leukemia Virus type 1) の感染により発症する難治性のT細胞悪性腫瘍である。これまでの研究から、ATL症例の白血病細胞では、遺伝子変異が蓄積しており、それが発がんに大きな役割を果たしていることが明らかとなったきた。本研究では、ゲノム変異によらないエピゲノムの異常がATL発症にどのような影響を与えるのかを明らかにすることを目的とし、オープンクロマチン領域の解析を行った。クロマチンをゲノムワイドに調べるATAC-seqという技術を用いて、ATL症例由来のHTLV-1感染細胞のクロマチン構造を健常人由来の細胞と比較解析を行った。ATLと健常人由来の細胞の比較解析により、ATL特有のクロマチン構造異常とそれに関連する遺伝子発現の異常を明らかにした。また、ATLはT細胞由来の白血病であるにも関わらず、そのクロマチン構造は必ずしもT細胞に類似しているわけではなく一部症例では骨髄球系細胞に類似したクロマチン構造を有することもわかった。ATLと同じHTLV-1関連疾患であるHTLV-1関連脊髄症のクロマチン構造解析も行い、ATLとHAMで共通しているクロマチン構造異常があることも明らかにした。そのような遺伝子の1つであるTLL1が細胞に及ぼす影響を調べ、アイソフォームによって機能に違いがあることが示唆された。これらの結果を元に、1細胞レベルでのクロマチン構造解析、遺伝子発現解析も実施し論文投稿の準備を行った。
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