2019 Fiscal Year Research-status Report
大腸癌に対する間質反応抑制剤と免疫チェックポイント阻害剤との併用療法の効果の検討
Project/Area Number |
19K16745
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
弓削 亮 広島大学, 病院(医), 助教 (70794791)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 免疫チェックポイント / 間質 / 大腸がん |
Outline of Annual Research Achievements |
当初研究目的として挙げた以下の3点についての研究実績 [1]免疫細胞の浸潤に着目したヒト大腸癌組織のphenotype 分類 当初の予定より多い、200例近いヒト大腸癌切除標本に対して、免疫染色を行い免疫学的腫瘍微小環境のphenotype分類を行った。それらの分類と臨床病理学的な関連、予後との関連についても解析を行った。年齢はInflamed type で他群より有意に高齢で性別、局在、Stage、脈管侵襲、組織型に有意差は認めなかった。5年全生存率はInflamed typeで良好な傾向を認めた。
[2]ICI (抗PD-1抗体)と間質反応抑制剤(PDGFR阻害剤) が大腸癌細胞株に与える影響 タイムラプスシステムを用いた検討を行い、ICIが免疫細胞の存在しないin vitroの環境下ではICIが細胞増殖能に影響を与えていないことを示した。またPDGFR阻害剤は線維芽細胞に対して細胞増殖能を抑制する効果を示した。
[3]大腸癌同所移植モデルにおける抗PD-1抗体とPDGFR阻害剤の併用効果 臨床検体で分類を行った3つのphenotypeの同所移植マウスモデルを作成した。作成したモデルが各phenotypeの微小環境を再現できているかを免疫組織学的に確認した。それらのマウスモデルを使用して、ICIとPDGFR阻害剤での治療実験を行った。4群のうち、併用群において最も抗腫瘍効果が高いという結果を得た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は当初の研究計画通りに概ね進行している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、動物実験で得られた結果が再現性のあるものかを検証しつつ、得られた移植腫瘍の免疫組織学的な検討から投与薬剤が腫瘍微小環境に与えた影響を検討していく。また移植腫瘍からRNAを抽出し、RNAseqを行い、網羅的に遺伝子発現解析を行う。我々が注目している腫瘍免疫系の遺伝子群、間質細胞系の遺伝子群の発現量がICI単独投与群とICI+PDGFR阻害剤の併用群において変化しているかをGSEA解析にて分析していく。これらの解析を通して、大腸癌の中でも最も多いexcluded typeの腫瘍における ICI+PDGFR阻害剤の併用療法の有用性を示していく予定である。
|