2020 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍血管の動的透過性(Nano eruption)の解明とその制御
Project/Area Number |
19K16766
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 雄太 東京大学, 医学部附属病院, 届出研究員 (10802358)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 癌 / ドラッグデリバリーシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
TGF-β 阻害薬またはクロロキンの投与によって腫瘍血管におけるNano-eruptionの発生が変化することが明らかになってきました。令和2年度はこれまでの研究結果をまとめ、英語論文で発表することができました。論文で発表した内容は以下の通りです。 Nano-eruption は 腫瘍血管で不規則に開閉する穴を介し、高分子ミセルを含む成分が腫瘍組織へ送達される現象であります。薬物による腫瘍の微小環境変化がNano-eruptionに及ぼす影響を検討しました。TGF-β阻害薬もしくはクロロキンを担癌マウスに投与し、30-nmと70-nmの蛍光標識高分子ミセルを用いて生体共焦点顕微鏡でNano-eruptionの変化を画像解析しました。TGF-β阻害薬はNano-eruptionの頻度と持続時間が亢進し、クロロキンはNano-eruptionの最大面積、最大半径増大量と血管径が増加しました。いずれの薬物も70-nm の方がNano-eruptionの変化は増大しました。本研究は、高分子ミセルと腫瘍の微小環境に影響を与える薬物の同時注入により、Nano-eruptionが変化することを示しました。腫瘍の微小環境の調節する薬物と高分子ミセルのサイズを介したNano-eruptionの制御は、腫瘍におけるドラッグデリバリーシステムの効果をさらに促進することが示唆されました。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
TGF-β 阻害薬とクロロキンの投与によるNano-eruptionの変化について、研究結果を示すことが出来、成果をまとめた論文を作成することはできましたが、その他の薬剤(セレコキシブやサリドマイド)によるNano-eruptionの変化についての研究があまり進んでおりません。新型コロナウイルスによる外出制限の影響も研究遂行の支障となっている可能性があります。
|
Strategy for Future Research Activity |
セレコキシブを併用した際におけるNano-eruptionの変化を観察してまいります。その解析結果をこれまで蓄積したNano-eruptionの基礎的データと比較して、Nano-eruptionの誘発する条件、抑制する条件について比較検討を行います。
|
Causes of Carryover |
論文投稿用に確保していた費用が予想よりも少なくすんだために生じたと思われます。次年度の実験に使用したいと考えております。
|
Research Products
(1 results)