2021 Fiscal Year Research-status Report
大腸癌における転写因子KLF5蛋白複合体の機能解明と創薬応用
Project/Area Number |
19K16777
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
辻 賢太郎 自治医科大学, 医学部, 助教 (00835712)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 大腸癌 / KLF5 |
Outline of Annual Research Achievements |
切除不能な進行大腸癌の予後は不良であり、高い有効性と安全性を持つ新規薬剤の開発が望まれる。KLFファミリーは個体発生や心血管疾患、癌などの多彩な病態に関与する転写因子群である。その一つであるKLF5は腸上皮の陰窩底部優位に発現しており、正常腸上皮幹細胞の維持・増殖に加え、Wntシグナル系のメディエーターとして腸上皮幹細胞からの腫瘍形成にも重要な役割を持つ。変異活性型β-Catenin誘導による大腸癌モデルマウスの腸上皮幹細胞でKLF5をノックアウトすると腫瘍形成が抑制されることも既に見出されており、KLF5は進行大腸癌の新たな治療標的として期待される。 しかし、生体内におけるKLF5の蛋白間相互作用の全体像は十分に解明されていない。 本研究では、FLAG/HAダブルタグ融合KLF5蛋白を恒常的に発現する遺伝子改変マウスを用いて、正常腸組織と腫瘍組織それぞれにおけるKLF5蛋白複合体解析を行う。本年度はCreERT2-loxPシステムにより腸上皮選択的に変異活性型β-Cateninを誘導する腫瘍形成マウスとFLAG/HA-KLF5ノックインマウスとを交配させ、このマウスにタモキシフェンを投与することで腸腫瘍が形成されること、ダブルタグ付きKLF5蛋白を発現することを確認した。さらに、KLF5の転写活性制御に重要なアセチル化を受けるリジン残基をアルギニンに置換した腫瘍形成マウスを作製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度はFLAG/HA-KLF5ノックイン腫瘍形成マウスを作製し、このマウスにおける腫瘍形成とタグ付きKLF5蛋白の発現を確認することができた。しかし免疫沈降の条件検討とサンプル数の確保に時間を要した上、業務多忙も重なり当初の予定通りの進捗を得られなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
免疫沈降の条件検討を進め、純度の高いKLF5蛋白複合体を得られた時点で質量分析によるKLF5関連蛋白の網羅的解析を行う。腫瘍組織と正常組織との間にKLF5関連蛋白の違いが見出されれば、当該蛋白に着目してKLF5との相互作用の立証や機能解析を進める。
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Causes of Carryover |
当初支出予定していた物品費やその他の経費の一部を別の財源で賄うことができたため、当該年度使用経費に余剰が生じた。余剰分は主として質量分析、データ解析、実験動物関連費等に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] Development of Low-Molecular-Weight Compounds Targeting the Cancer-Associated KLF5 Transcription Factor2022
Author(s)
Takeo Nakaya, Kenichi Aizawa, Yuki Taguchi, Kentaro Tsuji, Sachi Sekine, Kazuhiro Murakami, Masaji Kasai, Hirofumi Nakano, Yasumitsu Kondoh, Shingo Dan, Atsushi Yoshimori, Hiroyuki Kouji, Dai Takehara, Toru Suzuki, Hiroyuki Osada, Masayuki Murata, Akira Tanaka, Ryozo Nagai
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Journal Title
ACS Medicinal Chemistry Letters
Volume: 13
Pages: 687,694
DOI
Peer Reviewed