2019 Fiscal Year Research-status Report
機能性間質に着目した,卵巣癌における腫瘍間質の起源・役割の解明
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19K16778
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
矢野 光剛 大分大学, 医学部, 客員研究員 (70817064)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 卵巣癌 / 腫瘍間質 / 機能性間質 |
Outline of Annual Research Achievements |
先行研究として機能性間質を伴う卵巣明細胞癌7例と類内膜癌7例について、癌組織と機能性間質をレーザーマイクロダイセクションで分離し、それぞれを遺伝子解析する研究を行った。卵巣類内膜癌の1例に癌上皮と機能性間質で同じKRASの変異がみられた。先行研究について、Molecular association of functioning stroma with carcinoma cells in the ovary: A preliminary study. Narikiyo M, Yano M, Kamada K, Katoh T, Ito K, Shuto M, Kayano H, Yasuda M. Oncol Lett. 2019 Mar;17(3):3562-3568.として発表した。またKRAS変異が頻繁にみられて、形態的に上皮と間葉系成分が混在する像を呈することのある腫瘍としてmesonephric-like adenocarcinomaという概念を認識した。これについてもCoexistence of endometrial mesonephric-like adenocarcinoma and endometrioid carcinoma suggests a Müllerian duct lineage: a case report.Yano M, Shintani D, Katoh T, Hamada M, Ito K, Kozawa E, Hasegawa K, Yasuda M.Diagn Pathol. 2019 Jun 7;14(1):54.として発表した。我々が研究対象としている癌上皮と腫瘍間質の遺伝的類似性が、両者の由来細胞の一致によるものか、またはmesonephric-like adenocarcinomaのように一つの腫瘍で多彩な分化を示すことによるものか検証を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先行研究として卵巣癌14例で癌上皮と機能性間質の遺伝子解析を行い、両者を比較する検討はおおむね順調に進展した。得られたデータは査読付き英文雑誌から発表した。今後は症例数を増やしていく。また近年卵巣癌および子宮体癌でmesonephric-like adenocarcinomaという概念が提唱されたが、その腫瘍は形態的に上皮用成分と間葉様成分が混在した像を示すことがある。またKRASの遺伝子変異を高頻度で認める。先行研究で発表した1例は上皮と間質に同じKRASの異常がみられ、それがmesonephric-like adenocarcinomaとは異なるものなのか検証が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
先行研究について症例数を増やして検討するとともに、mesonephric-like adenocarcinomaとの類似性や差異についても検証する。得られたデータについて学会発表を行い、他の研究者たちとのディスカッションを行うことで研究の推進力としたい。また査読付き英文雑誌からの発表を行うことで、結果を広く公表したい。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症による学会の不参加、物品の入手困難になり、研究が遅延して、予定していた使用額の遅延が発生しました。次年度使用額は、レーザーマイクロダイセクションや遺伝子解析する、学会発表など論文の校正費、雑誌掲載料、研究の消耗品類の購入など効率的に使用する。
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Research Products
(7 results)