2019 Fiscal Year Research-status Report
組織幹細胞のがん化におけるがん抑制キナーゼDYRK2の機能解析
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19K16781
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
吉田 彩舟 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (40772744)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | DYRK2 / 発がん / 幹細胞 / LGR5 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、新規のがん抑制遺伝子と考えられるDual specificity tyrosine phosphorylation-regulated kinase 2 (DYRK2)に関し、マウス個体レベルでの発がん過程における機能解明を目的とする。特に、複数の組織においてがん幹細胞の起源と考えられる組織幹細胞 (Lgr5発現細胞) に焦点を当て、Lgr5発現細胞特異的なDyrk2 コンディショナルノックアウトマウスを作出し、発がんとの関連性を解明する。 本年度は、解析対象となる遺伝子改変動物の作出を中心に進めた。我々が新規に作出したDyrk2-floxマウスとLgr5-EGFP-IRES-CreERT2マウスを交配し、Dyrk2-flox;Lgr5-EGFP-IRES-CreERT2マウスを作出した。本マウスに、タモキシフェンを投与することで、Lgr5発現細胞でDyrk2の発現が低下することが確認できた。また、薬剤(アゾキシメタンならびにデキストラン硫酸ナトリウム)投与による炎症性大腸がん発がんモデルの条件を設定した。 また、薬剤投与による発がんモデルに加え、Apc遺伝子欠損による発がんモデルを検証するために、Dyrk2;Apcダブルコンディショナルノックアウトマウス(Dyrk2-flox;Apc-flox;Lgr5-EGFP-IRES-CreERT2)を作出した。現在、Dyrk2欠損による発がんへの影響を検証している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
解析に必要な遺伝子改変動物ならびに実験系は全て構築ができた。そのため、概ね順調に研究は進んでいると判断した
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Strategy for Future Research Activity |
初年度において、解析に必要な遺伝子改変動物は全て作出できている。次年度は、タモキシフェン誘導によるDyrk2欠損個体へ、薬剤(アゾキシメタンならびにデキストラン硫酸ナトリウム)を投与し、炎症性大腸がん発がんモデルを作出する。誘導した大腸がんのマクロならびにミクロ(免疫組織化学や遺伝子発現)解析を行い、Dyrk2 欠損による発がんへの影響を個体レベルで検証する。また、Dyrk2の欠損により発がんへの影響が確認された場合、原因となるDyrk2のリン酸化基質をはじめとした下流の分子機序を解明する。
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Causes of Carryover |
初年度に予定していた解析が順調に終了したため、次年度の表現系解析の費用に当てる予定である。
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Research Products
(2 results)