2019 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍抑制マイクロRNA let-7の新規制御因子の機序解明と新規治療標的の探索
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19K16794
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
栗本 遼太 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (10753957)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | let-7 / tRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
腫瘍抑制microRNA let-7の制御因子について、全RNA結合タンパク質を標的とした機能的スクリーニングを実施した。その結果、RNA修飾遺伝子TruB1がlet-7を上昇させることが明らかとなった。このTruB1によるlet-7の上昇は、転写には影響しておらず、むしろその一次転写産物の発現を低下させており、転写以降のmicroRNAの成熟化機構に影響を及ぼしていた。TaqMan Arrayを実施したところ、TruB1によるこれらの現象は他のmicroRNAではあまり認められず、let-7に特異的であった。内在性のTruB1へTagを導入した細胞株を樹立し、HITS-CLIP法を行ったところ、TruB1はlet-7前駆体と特異的にかつ直接的に結合していることが分かった。RNA-EMSA法においても同様の結果が得られた。これらの結果から、TruB1が直接的にかつ特異的にlet-7前駆体と結合し、その結果let-7の成熟化に寄与していることが明らかとなった。これらの現象は、腫瘍における増殖能や幹細胞能の制御へも寄与していることを明らかとした。これらの結果を現在論文投稿中であり、既にpre-printとして公表を開始している(https://doi.org/10.1101/2020.02.16.951954)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画当初に予定していた研究は概ね実施しており、成果の主となる論文の投稿を開始している。さらに、これまでの研究で得られた結果を元に、タンパク質-RNAの立体構造などを含めた新たな解析へと進むことができている。
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Strategy for Future Research Activity |
TruB1による特異的なlet-7制御機構を、タンパク質-RNA間の相互関係、複雑な立体構造を解明することで、microRNAの成熟化機構全体における重要性を明らかにする。さらに、microRNAの成熟化機構を標的とした創薬へ向けた化合物の探索などを検討する。
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Causes of Carryover |
当該年度内における研究の順調な推進に伴い、次年度使用額が生じた。さらに、当該年度の研究成果によって、次年度の研究の継続的な推進及び新規解析(タンパク質-RNa構造解析)を行う必要性が生じた。この次年度使用額を利用して新たな構造解析を行うための準備を行う。
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