2021 Fiscal Year Research-status Report
悪性骨軟部腫瘍における自然免疫賦活化による抗腫瘍効果の検討
Project/Area Number |
19K16802
|
Research Institution | National Hospital Organization, Kyushu Cancer Center |
Principal Investigator |
薛 宇孝 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター), その他部局等, 整形外科医長 (40727020)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 骨軟部腫瘍 / 肉腫 / 免疫 / 骨肉腫 / 未分化多型肉腫 / エリブリン |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫チェックポイントと呼ばれ免疫応答を抑制する分子の一つにPD-L1があり、腫瘍細胞に発現することで免疫からの回避に関わっている。悪性骨軟部腫瘍の中でもPD-L1の発現が高く免疫チェックポイント阻害薬の効果が期待されているものに「未分化多型肉腫」という腫瘍が存在する。この未分化多型肉腫においてPD-L1の調節因子であるCKLF-like MARVEL transmembrane domain containing 6 (CMTM6)が高発現している群が存在し、これらはPD-L1発現を伴い予後不良であることを示し論文として発表した(J Cancer Res Clin Oncol . 2021 Jul;147(7):2003-2011)。 末梢血から簡便に測定できる免疫マーカーとして好中球リンパ球比(NLR)、血小板リンパ球比(PLR)などが報告されており腫瘍免疫の状態を反映していると解釈されている。悪性軟部腫瘍においてもNLR,PLRが低く腫瘍免疫が活性化していると思われる例の予後が良好であることが示されている。これらのマーカーが治療選択の補助になる可能性について探索した。進行期の悪性軟部腫瘍において標準的な二次治療は確立されておらずエリブリン、トラベクテジン、パゾパニブの3剤が主に選択されるがその選択に当たっての明確な根拠はない。我々の検討ではPLRが低い症例でエリブリンを選択した群が全生存率において予後良好であった。エリブリンは腫瘍の微小環境を調節し後治療の効果を高め全生存期間を延長する作用も有すると考えられており、免疫応答が保持されている症例ではその効果が特に期待されることが示唆された。これについても論文として発表した(J Clin Med. 2021 Oct 26;10(21):4972)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
骨肉腫での検討がほぼ予定されたところまで完了し、他の悪性骨軟部腫瘍での検討に移った。
|
Strategy for Future Research Activity |
末梢血での免疫マーカーの検討を継続する。二次治療の選択の根拠としてのマーカーの有用性を証明したが、今後は再発のスクリーニングや治療効果判定にも応用可能か検討する。
|
Causes of Carryover |
書籍購入代として使用したが年度内に間に合わなかったため。 報告書記入時点で使用済。
|
-
-
-
[Presentation] 進行軟部肉腫に対する新規治療薬選択における末梢血免疫関連マーカーの有用性2021
Author(s)
島田 英二郎, 松本 嘉寛, 花田 麻須大, 遠藤 誠, 薛 宇孝, 藤原 稔史, 飯田 圭一郎, 松延 知哉, 前川 啓, 鍋島 央, 中川 亮, 木村 敦, 廣瀬 毅, 金堀 将也, 中島 康晴
Organizer
第54回日本整形外科学会 骨・軟部腫瘍学術集会