2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K16805
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
菊地 尚平 札幌医科大学, 医学部, 助教 (80515792)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 多発性骨髄腫 / アポトーシス / IAP阻害剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
複数のIAP阻害剤をMTTアッセイで解析の結果、XIAP阻害作用を有するCompound Aは、XIAP阻害効果の乏しいCompound Bよりも強力な細胞増殖抑制効果をもたらした。この両薬剤ともcIAP1およびcIAP2は、同様に蛋白レベルでの阻害効果を確認しており、多発性骨髄腫におけるIAP阻害においては、とくにXIAPをふくめた阻害が重要である可能性が示唆された。 Compound Aによる細胞増殖抑制効果の機序についてアネキシンアッセイおよびウエスタンブロッティング法にて検討したところ、濃度依存生活時間依存性なアポトーシス誘導が認められ、XIAPを含むIAP阻害により単独で効率的なアポトーシス誘導が起こされたものと考えられた。 また、XIAPがIL-6依存性に発現をもたらすことから、Compound XのIL-6添加下での細胞増殖抑制効果を検討したところ、IL-6添加下においても、Compound Aは良好な細胞増殖抑制効果を示した。IL-6依存性のシグナル伝達に対するCompound Aの作用を検討したところ、JAL-STAT経路を抑制していることが示唆され、このことからCompuound Aが骨髄微小環境による骨髄腫細胞のサポート効果を克服しうる可能性が示唆された。 さらに、多発性骨髄腫における標準治療薬であるボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、イクザゾミブとの併用において、細胞増殖抑制に対する相乗効果が認められた。ウエスタンブロッティング法にて、Caspase -3, -8, -9のCleved formの発現増強を認めたことからその相乗効果は、アポトーシス誘導の増強によりもたらされたものと考えられた。同様の相乗効果は、メルファラン、ドキソルビシン、パノビノスタットとも認められ、Compuound Aが、期治療薬との併用において有望な薬剤である可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Compuound Aによる治療ターゲットとしてのXIAPの有望性を確認することができ、強力なアポトーシス誘導をもたらすことを確認できた。また、とくに骨髄腫診療において重要なIL6依存性のJAK-STAT経路を阻害しうる可能性を示した。
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Strategy for Future Research Activity |
Compuound Aが、単独で高い細胞増殖抑制効果を示し、かつ既治療薬との併用において、有望な相乗効果を示すことを見出した。今後はノックダウンアッセイを用いて、単剤および併用での相乗効果の詳細な機序を検討する予定である。 さらに、機序解析と並行して、JAK-STAT経路に関係して、骨髄支持細胞との共培養系においても、細胞増殖抑制効果をもたらすかを検討する予定である。進捗状況によっては、Vivoの研究を施行予定である。
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Causes of Carryover |
ウエスタンブロッティングを中心に研究を進めたが、年度末は、購入済みの抗体を中心的に使用して実験の推進が可能な状況となり、新規試薬の購入がすくなかったため、余剰を生じた。次年度は、実験計画にのっとり、ウエスタンブロッティング法に使用する抗体やあらたにおこなうノックダウンに使用するsiRNA, shRNAを購入予定である。
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