2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of RET inhibitor based on the interaction between the kinase protein and inhibitor
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19K16817
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
中奥 敬史 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 研究員 (20779491)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | RET / チロシンキナーゼ阻害剤 / がんゲノム医療 / 薬剤耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、報告者が薬剤耐性変異であるS904Fに対して用いた手法を応用し、RETタンパク質を対象に複数の変異を導入し、阻害剤-タンパク質間の相互作用の変化を指標にして、薬剤感受性に与える影響を、in vitro、in silicoの手法を用いて明らかにする。得られた構造的特性から新たなRET阻害剤開発に向けた創薬アイデアを得ることを目標とする。 当該年度では、クリニカルシークエンスによって得られる遺伝子や臨床情報を活用し、in vitro実験と分子動力学シミュレーションを組み合わせることで、RET 2次変異S904Fに対して薬剤耐性に寄与する機能獲得型変異であることさらに、その耐性克服の可能な阻害剤を見出した。また、同様にRET2次変異V804L(Wirth, et al, JCO Pres Oncol, 2019)および新規の変異(Tabata et al, in preparation)は、実患者にて耐性獲得後に検出された変異であるが、新規RET阻害剤に対して再度有効性が認められた。これらの薬剤感受性の臨床情報をもとに、申請者らは、in vitroアッセイとin silico解析を組み合わせ、構造に踏み込んでその機構を明らかにしつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
らが報告してきたin vitro実験と分子動力学(MD)シミュレーションを組み合わせた変異の意義付けや感受性薬剤の選択の手法を応用させることで、新たな薬剤耐性変異を同定し、その克服の候補となる薬剤を選定している。Ba/F3細胞や、精製タンパク質を用いたアッセイ系は、申請者が報告したRET遺伝子融合上に生じた機能獲得型変異であるS904Fの解析に用いた手法の応用により準備が進んできている。In silico解析は、共同研究者とのディスカッションにより代表変異を用いたMDシミュレーションを行うことで、その変異の特性に関わるモチーフおよび残基が明らかになりつつあり、その検証と応用を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
RETキナーゼを対象に、阻害剤ータンパク質の相互作用による薬剤感受性変化に着目し、精製タンパク質を用いたin vitroアッセイや分子動力学シミュレーション等のin silico解析を行うことで分子標的治療の奏効・耐性の指標となる阻害剤の化学的・構造的特性を明らかにする。 具体的には、RETにおいて、多くの結晶構造解析の経験のある研究者との共同研究を行い、昆虫細胞を用いたRETキナーゼタンパク質発現系を用いて精製タンパク質を作成する。in vitroキナーゼアッセイによるKm、Ki値の測定するとともに、タンパク質の安定性を調べ、阻害剤-タンパク質の結合安定性を数値化し、変異導入による特性変化を調べる。有望な阻害剤は野生型・変異RETキナーゼタンパク質との構造解析を行い、阻害剤の有効性・特異性を構造の側面から精査する。RETタンパク質との構造情報を用いて、分子動力学シミュレーション解析で推定するモデルを作成する。既知の変異をモデルとして機能獲得を推定するモデルを構築する。MDシミュレーションソフトウェアアルゴリズムを用い、野生型とバリアントを対象に対して、分子動力学シミュレーションと量子化学計算にて、リガンドとの結合自由エネルギーと相互作用を計算し、バリアントによるタンパク質の構造変化や安定性やリガンドとの結合親和性与える影響を調べる。In vitro解析により得られた薬剤感受性と結合安定性との相関を示すことで、臨床現場での薬剤応答性の予測可能モデルの構築を行う。
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Causes of Carryover |
旅費とその他のコストは当初の見積もりよりも少なかった。その理由として、旅費は当初予定していた海外渡航費が共闘研究機関との時間調整が不十分であったこと、年度末になるにつれ、COVID-19により渡航制限が発生したことによる。またその他として計上した費用は受託サービスを行うことを想定して見積もった費用であるが、自身で実験を行うことでその費用が削減できた。翌年度では研究費の取得上状況が明るくなかったたため、翌年度分の助成金として請求した。
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Research Products
(1 results)