2021 Fiscal Year Research-status Report
乳癌組織全エクソン解析データに基づく相同組み換え修復機能の新規測定モデル開発
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19K16819
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
谷岡 真樹 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (60573045)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | BRCA1/2 / 重複癌 / 全エクソン解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで乳癌・卵巣癌もしくは乳癌・膵臓癌の重複癌患者の腫瘍組織・生殖細胞の全エクソン解析を行い、その相同組み換えレベルを測定してきた。その一部を2021年の日本人類遺伝学会で発表した。以下その内容である: 2008年から19年の間に国立がん研究センターで診断されたDPBRCA患者27名の腫瘍46例とマッチした正常組織27例について全エクソームシーケンスを実施した。生殖細胞変異はClinvarとSnpEffに基づいて検出された。ホルマリン由来の変異を除外し、腫瘍のHRDを反映するMutation Signature 3 (Sig3)を算出した。結果 乳房と卵巣由来のDPBRCA腫瘍が20例、乳房と膵臓由来の腫瘍が7例であった。9名にBRCA関連癌の家族歴があった。年齢中央値は58歳(26-79歳)で、乳癌と膵臓癌の患者はすべて65歳以上であった。14人(52%)がBRCA2(7人)、BRCA1(6人)、ATM(1人)、TP53(1人)、MRE11(1人)に生殖細胞変異を有していた。乳・卵巣では65%(13/20)が生殖細胞変異を有し、71%(12/17)がSig3陽性であったが、乳・膵臓では7例中変異またはSig3陽性は1例(14%)のみであった。Sig3陽性の卵巣腫瘍の75%(6/8)および乳腺腫瘍の33%(2/6)が再発したが、Sig3陰性の乳腺および卵巣腫瘍の再発はなかった。乳がん・卵巣がんの二重原発症例では生殖細胞変異が高頻度に認められ、HRDを有する腫瘍のみが再発したことから、PARP阻害剤による治療戦略が提案される可能性がある。乳がん・膵臓がんの二重原発患者の多くは、加齢に伴う偶発的なものであると思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究者の異動に伴い、研究の進捗が一時停止したため、1年間の研究期間延長を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
新たな施設で倫理委員会にこれまでの研究計画書を提出し、重複癌サンプルを用いた研究を継続する。
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Causes of Carryover |
研究者の異動に伴い、研究の進捗が一時停止したため、1年間の研究期間延長を行った。新たな施設で倫理委員会にこれまでの研究計画書を提出し、重複癌サンプルを用いた研究を継続する。新たな重複癌サンプルの全エクソン解析を行うために次年度使用額が生じている。
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