2022 Fiscal Year Research-status Report
乳癌組織全エクソン解析データに基づく相同組み換え修復機能の新規測定モデル開発
Project/Area Number |
19K16819
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
谷岡 真樹 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (60573045)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 重複癌 / 全エクソン解析 / BRCA1/2 |
Outline of Annual Research Achievements |
2008年から19年の間に国立がん研究センターで診断されたDPBRCA患者27名の腫瘍46例とマッチした正常組織27例について全エクソームシーケンスを実施した。 生殖細胞変異はClinvarとSnpEffに基づいて検出された。ホルマリン由来の変異を除外し、腫瘍のHRDを反映するMutation Signature 3 (Sig3)を算出した。14人(52%)がBRCA2(7人)、BRCA1(6人)、ATM(1人)、TP53(1人)、MRE11(1人)に生殖細胞変異を有していた。乳・卵巣では65%(13/20)が生殖細胞変異を有し、71%(12/17)がSig3陽性であったが、乳・膵臓では7例中変異またはSig3陽性は1例(14%)のみであった。乳がん・卵巣がんの二重原発症例では生殖細胞変異が高頻度に認められ、HRDを有する腫瘍のみが再発したことから、PARP阻害剤による治療戦略が提案される可能性がある。乳がん・膵臓がんの二重原発患者の多くは、加齢に伴う偶発的なものであると思われた。 乳癌と膵臓癌を重複した1名は、LMO2の生殖細胞変異が唯一の候補として見出された。さらに、彼女は乳房と胃にびまん性大細胞型リンパ腫(DLBCL)を2回経験していた。LMO2は DLBCLの予後因子として知られており、53BP1と相互作用して相同組み換えを阻害し、びまん性大細胞型リンパ腫のPARP阻害に合成致死を与えることも知られている。Variant allele frequency(VAF)は生殖細胞では52%であったが乳腺腫瘍で68%とさらに高く、LOH scoreは乳腺腫瘍で24%と高値であった。以上からLMO2の新規変異は、PARP阻害剤に反応するDLBCLおよびBRCA関連癌の原因となる可能性があると考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バイオバンクジャパンにおいて、びまん性大細胞型リンパ腫と乳癌、膵臓癌、または卵巣癌を重複した103名の患者の中で、LMO2のバリアントを有する症例の有無に関する検討が終了した。
|
Strategy for Future Research Activity |
神奈川県立がんセンターの重複癌患者の全エクソン解析を行い、これまでの重複癌患者の結果と比較を行う。さらに相同組み換え異常レベルについて、LOHを用いた解析を行う。
|
Causes of Carryover |
神奈川県立がんセンターのサンプルの全エクソン解析が遅れているため。次年度実施予定の当該解析等に必要な費用に充当する。
|