2020 Fiscal Year Annual Research Report
AI画像診断と網羅的遺伝子解析に基く早期胃癌の深達度診断・リンパ節転移予測の確立
Project/Area Number |
19K16825
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
片岡 陽佑 東京大学, 医学部附属病院, 届出研究員 (80800896)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 早期胃癌 / AI / 深達度診断 / リンパ節転移リスク / 網羅的遺伝子解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
早期胃癌の深達度診断予測及びリンパ節転移リスクに関する術前診断は内視鏡的粘膜下層剥離術の適応判定および追加外科切除を減らす上で重要である。本研究の目的は、第一にAIによる高精度の胃癌深達度システムを構築すること、第二に網羅的遺伝子発現によりリンパ節転移リスクを術前に判定する診断基準を樹立することである。 まず、AIによる胃癌深達度診断に関しては、当院での倫理委員会で承認を得て、画像抽出を行い、粘膜内癌1207枚、粘膜下層軽度浸潤癌 (<500μm) 1048枚、粘膜下層深部浸潤癌 (≧500μm) 1260枚、進行癌716枚の通常光・インジゴカルミン散布画像・狭帯域光観察画像に対して匿名化後、さらにそれぞれの画像にアノテーションを行い、解析を行った。データセットの75%を訓練用・25%を評価用に用いて、通常光においては正診率67%、AUC 0.76であった。 網羅的遺伝子発現に関しては術後病理診断により高分化型腺癌優位であったもののうち、粘膜内癌8症例、粘膜下層深部浸潤癌8症例のRNAを抽出した。これらに対してマイクロアレイ解析を行った。クラスター解析を行ったところ、粘膜内癌と粘膜下層深部浸潤癌は明瞭に分かれることが確認できた。粘膜内癌と粘膜下層深部浸潤癌で変動の大きかったもののうち遺伝子Aに着目した。免疫組織学的検証で、遺伝子Aの400倍の視野中の平均陽性細胞数は粘膜内癌で3.8、粘膜下層深部浸潤癌で0.4であり、有意差を認めた(p < 0.001)。遺伝子Aを用いて深達度診断のROC曲線を描くと、AUCは0.71であった。 これまで肉眼所見により内視鏡医が主観的に行っていた胃癌深達度診断に関して、AIおよび網羅的遺伝子発現解析によって、新たな予測法の可能性を示した。
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Research Products
(1 results)