2021 Fiscal Year Annual Research Report
がん患者末梢血浮遊DNAの全身性炎症反応への役割の解明
Project/Area Number |
19K16827
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
野口 卓郎 北海道大学, 医学研究院, 助教 (40814554)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 腫瘍免疫 / EGFR変異陽性肺癌 / cfDNA / CD24 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究から以下の成果を得た。1)EGFR(Epidermal growth factor receptor:上皮成長因子受容体)チロシンキナーゼ阻害薬はEGFR変異陽性肺癌細胞株からのcfDNA放出を促進した。一方でEGFRチロシンキナーゼ阻害薬により治療効果を認めたEGFR変異陽性肺癌患者の末梢血中cfDNA濃度は治療後に低下した。2)腫瘍細胞死により腫瘍細胞から放出されるcfDNAは、STING依存性にマクロファージの自然免疫経路を活性化した。一方でcfDNAにより活性化したマクロファージは、インターフェロンガンマへの応答性が抑制された。そのため、EGFR変異陽性肺癌において、腫瘍由来cfDNAは腫瘍局所においては炎症誘導因子、末梢においては治療奏功バイオマーカーとしての意義を持つと考えられた。3)EGFR変異陽性細胞株およびEGFR変異陽性肺癌患者検体を用いて、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬によりEGFR変異陽性肺癌細胞において抑制性免疫分子CD24の発現が上昇することを明らかとした。 EGFR変異陽性肺癌患者に対してEGFRチロシンキナーゼ阻害薬は高い治療効果を示すが、その耐性化の克服が課題である。EGFRチロシンキナーゼ阻害薬再発例の約半数は耐性遺伝子の出現が原因とされているが、残りの半数におけるその耐性化機序は明らかとなっていない。本研究を通して、治療によって誘導されるcfDNAやCD24を介したがん免疫逃避機構がEGFR変異陽性肺癌の治療耐性に関わっている可能性が示唆された。そのため、これらのバイオマーカーは今後治療標的候補として意義を持つと考えられた。
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Research Products
(3 results)