2019 Fiscal Year Research-status Report
変異型Rasに高親和性かつ特異的に結合するタンパク質を用いた新規抗がん剤の開発
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19K16828
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
本田 諒 岐阜大学, 大学院連合創薬医療情報研究科, 助教 (00820143)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | RAS / 分子標的薬 / RAS阻害剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん遺伝子産物RASは膵臓癌・大腸癌を含む約30%のがんで活性化されている.活性型 RASはがん治療標的として最重要視されているものの一つで, MEK/ERKとAKT/mTORシグナル経路を活性化することでがんの発生・維持・増殖を促進する.これらのことから,RAS阻害剤の開発が世界的規模で進められているが,RASタンパク質の構造特性および細胞内局在から、従来の創薬手法によるRAS阻害剤の開発は困難を極めてきた. 本研究では,これまでほとんど研究対象とされてこなかった「細胞膜透過性タンパク質」に着目しRas阻害剤開発に取り組んだ.初年度は約50種類の細胞膜透過性タンパク質を合成・スクリーニングすることで,試験管内で強いRas阻害効果と抗がん作用をもつ新規RAS阻害剤を同定することに成功した.さらに,蛍光アッセイとスプリット・ルシフェラーゼアッセイを用いて,本剤が細胞膜を透過し標的に結合することを証明した.また、ウェスタンブロッティングとスプリット・ルシフェラーゼアッセイを用いて,本剤が数マイクロモルの濃度で標的を阻害することを証明した.また,変異体解析とマイクロアレイ解析を用いることで,本剤の標的特異性も証明した.本剤は計11種類のがん細胞株に対して抗がん作用を示し、IC50は数マイクロモルであった.さいごに,本剤と既知のRAS阻害剤の活性を比較したところ,本剤はこれまでに報告されたどのRAS阻害剤よりも活性が高いことが明らかとなった.以上のことから,本剤は有力なRAS阻害剤候補であると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
阻害剤候補となるタンパク質を同定し,マウスモデルを用いた検証段階まで進むことができたため.
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Strategy for Future Research Activity |
同定したRAS阻害剤候補の抗がん作用をマウスモデルで検証するとともに,類縁体を多数合成することで、より強力なRAS阻害剤を開発する.
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Causes of Carryover |
研究計画が予定以上に進行したため55万円の前倒し支払い請求を行ったが、その一部を使用しなかったため、次年度使用額とした。
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