2021 Fiscal Year Annual Research Report
変異型Rasに高親和性かつ特異的に結合するタンパク質を用いた新規抗がん剤の開発
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19K16828
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
本田 諒 岐阜大学, 大学院連合創薬医療情報研究科, 准教授 (00820143)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | RAS / 抗がん剤 / 細胞膜透過性タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
KRASは癌治療における最重要標的の一つであるが、従来の低分子医薬品や抗体医薬では創薬が困難な標的(“undruggable target”)と長年考えられてきた。本研究では、KRASに高親和性かつ特異的に結合するタンパク質に細胞膜透過性を付与することで、新しいKRAS阻害剤の開発を試みた。はじめに、KRASと生体内で相互作用するタンパク質(RAS結合ドメイン)と細胞膜透過性ペプチドの任意の組み合わせから成る細胞膜透過性タンパク質を51個合成した。これらを細胞レベルで評価することで、数マイクロモルの濃度でKRASを阻害する新規阻害剤を同定することに成功した。本タンパク質は既存の低分子KRAS阻害剤と同程度以上の阻害活性を示し、マイクロアレイ解析などによって標的特異性も証明することができた。しかしながら、マウスモデルでは期待していた阻害作用が認められず、血中安定性の向上やナノモルレベルを目指した活性の向上など、新たな課題も浮き彫りになった。本研究成果をまとめた学術論文を発表し(TK Nomura et al., Cell Chemical Biology 2021)、国内・国際特許を出願した( WO/2022/039026)。今後は得られたタンパク質の改良を重ねることで、より強力なKRAS阻害剤へと発展させ、抗がん剤としての実用化を目指す。
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Research Products
(2 results)