2019 Fiscal Year Research-status Report
通常型膵癌に腫瘍浸潤T細胞を増加させる新規免疫療法の開発
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19K16840
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
加藤 真吾 横浜市立大学, 附属病院, 講師 (20622583)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 膵癌 / 腫瘍浸潤リンパ球 / オルガノイド |
Outline of Annual Research Achievements |
助成初年度に計画していた内容は、条件検討や実験手技は確立し、一定の結果は得られた。研究計画の問題点として、マウス膵癌オルガノイド細胞株同所移植モデルの腫瘍増殖の速さから、腫瘍内部の壊死傾向が強く、解析結果に大きなばらつきが生じるという点が明らかとなった。特にケモカインアレイのような網羅的な解析では、個体間のばらつきのため優位に変動する因子を同定することが困難であった。この問題を解決するため、血管内皮細胞の解析では、壊死が起きにくい、より早い段階での解析や、免疫組織染色による壊死部分以外での解析など、解析手法を調節する予定とした。また、同所移植モデルの個体間でも腫瘍の増殖に差があるため、移植後2週間で一度開腹し、腫瘍径を確認した後に閉腹して、以降の実験に用いることとした。ケモカインの解析に関しては、より単純な系での解析が必要と考え、オルガノイド細胞株の培養上清を用いたセクレトーム解析、あるいはオルガノイド細胞のRNAシーケンス解析を計画している。また、この間に、マウス膵癌オルガノイド細胞株同所移植モデルを用いて、腫瘍内浸潤免疫細胞サブセットの継時的な変動を解析した。全白血球に対するCD8陽性T細胞の割合は継時的に減少していた。一方で、骨髄由来抑制細胞(MDSC)または好中球と考えられるサブセットが継時的に増加しており、2年目に合わせて解析を行う方針とした。2年目は、予定していたケモカイン投与による腫瘍浸潤T細胞の評価や、免疫チェックポイント阻害剤の投与実験の完了を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
助成初年度に計画していた血管内皮細胞の検討に関して、実際に解析を進めた。まず、マウス正常膵臓組織、マウス膵癌オルガノイド細胞株同所移植モデルの腫瘍組織及び周囲の膵臓組織を用いて、フローサイトメトリーによる解析を行った。酵素処理などの条件検討が必要であったが、計画していた血管内皮細胞上のE/P-selectin、VCAM、ICAMなどの各表面抗原は問題なく検出可能であった。予定していた表面抗原のCD31は多くの白血球にも発現していたため、CD45陰性かつCD31陽性細胞を血管内皮細胞と考えた。問題点として、腫瘍内部の壊死傾向が強いことが原因と考えらえるが、特に腫瘍血管において、個体間の結果のばらつきが非常に大きくなってしまった。この問題は引き続いて行った、血管内皮細胞の培養、in vitroでの刺激後の反応の解析においても同様であった。特に腫瘍血管において、結果のばらつきが大きく、再現性の担保が困難であった。上記に加えて、初年度に計画していたケモカインアレイに関しても完了したが、血管内皮細胞の結果と同様に、ばらつきが問題となった。腫瘍内部の壊死部分の含有量の違いによるものと考えられた。また、この間に、マウス膵癌オルガノイド細胞株同所移植モデルを用いて、腫瘍内浸潤免疫細胞サブセットの継時的な変動を解析した。全白血球に対するCD8陽性T細胞の割合は継時的に減少していた。一方で、骨髄由来抑制細胞(MDSC)または好中球と考えられるサブセットが継時的に増加していた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の問題点として、マウス膵癌オルガノイド細胞株同所移植モデルの腫瘍増殖の速さから、腫瘍内部の壊死傾向が強く、解析結果に大きなばらつきが生じるという点が明らかとなった。この問題を解決するため、血管内皮細胞の解析では、腫瘍内部の壊死の影響を受けにくい、より早い段階での解析や、免疫組織染色による壊死部分以外での解析など、解析手法を調節する予定とした。また、血管内皮細胞の培養実験に関しても、一定の成果は得られているものの、実験間のばらつきが大きいため、壊死などの他の刺激が少ない状態で再度解析を行う。また、同所移植モデルの個体間でも腫瘍の増殖に差があるため、移植後2週間で一度開腹し、腫瘍径を確認した後に閉腹して、以降の実験に用いることとした。ケモカインの解析に関しては、より単純な系での解析が必要と考え、オルガノイド細胞株の培養上清を用いたセクレトーム解析、あるいはオルガノイド細胞のRNAシーケンス解析を計画している。これらの網羅的な解析から、候補となるケモカインを選出し、以降のin vivo投与実験へ進める。また、免疫細胞サブセットの解析で得られた、MDSCあるいは好中球の増加という所見に関しては、2年目に継続して解析することとした。本モデルで代表的な腫瘍浸潤免疫細胞のサブセットは解析可能であることを1年目に確認済である。2年目は、予定していたケモカイン投与による腫瘍浸潤T細胞の評価や、免疫チェックポイント阻害剤の投与実験の完了を目指す。
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Causes of Carryover |
助成初年度は実験系の条件検討も多かったため、確実な系が立ち上がるまでは多くの資金を要する網羅的な解析は限定的なものにとどめた。また、2年度に予定している抗体投与実験に多くの資金を要することもあり、次年度に一定の資金区を繰り越すこととした。
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[Journal Article] Three-dimensional analysis of pancreatic fat by fat-water magnetic resonance imaging provides detailed characterization of pancreatic steatosis with improved reproducibility.2019
Author(s)
Shingo Kato, Akito Iwasaki, Yusuke Kurita, Jun Arimoto, Toh Yamamoto, Sho Hasegawa, Takamitsu Sato Kento Imajo, Kunihiro Hosono, Noritoshi Kobayashi, Masato Yoneda, Takuma Higurashi, Kensuke Kubota, Daisuke Utsunomiya, Atsushi Nakajima
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Journal Title
PloS one
Volume: 14
Pages: e0224921
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Organoid-based ex vivo reconstitution of Kras-driven pancreatic ductal carcinogenesis.2019
Author(s)
Matsuura T, Maru Y, Izumiya M, Hoshi D, Kato S, Ochiai M, Hori M, Yamamoto S, Tatsuno K, Imai T, Aburatani H, Nakajima A, Hippo Y
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Journal Title
Carcinogenesis
Volume: 122
Pages: 1,12
DOI
Peer Reviewed
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