腫瘍リンパ管に関わる標的分子の探索と細胞治療への発展

2020 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 19K16841
• Research Institution: Kitasato University
• Principal Investigator: 前花 祥太郎 北里大学, 医療衛生学部, 助教 (40803177)
• Project Period (FY): 2019-04-01 – 2022-03-31
• Keywords: 欠損レトロウイルスベクター / リンパ行性転移 / 細胞治療 / ウイルス / 薬剤耐性

Outline of Annual Research Achievements

本研究は、研究代表者らが独自に進めてきた遺伝子改変細胞治療法を、悪性腫瘍の特に腫瘍リンパ環境を標的として応用し、癌微小環境の制御と転移抑制に向けた網羅的分子の探索とその機能解明を目的としている。そこで前年度行ったリンパ菅新生因子に対する制御遺伝子のクローニングと治療細胞の作成とがん転移関連分子探索に向けた腫瘍細胞の性状の解析をもとに、本年度は腫瘍細胞をC57BL/6マウスおよびBALB/c-nu/nuマウスに移植し、担癌マウスモデルを作成し、リンパ行性転移実験を実施した。C57BL/6マウスを用いた肺同所移植モデルでは、肺実質への生着および増殖を確認し、リンパ行性に転移した所属リンパ節から腫瘍細胞を初代培養することに成功した。BALB/c-nu/nuマウスを用いたヒト腫瘍細胞株の担癌モデルでは、肺実質への生着と増殖が確認されたものの、所属リンパ節への転移は確認されなかったため、肺実質腫瘍および胸腔播種した腫瘍細胞を再培養し、再度肺実質からリンパ節への転移をチャレンジすることで転移性腫瘍の獲得を目指して繰り返し実験を行なっている。本年度予定していたショットガン法による解析は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け実施できなかったが、遺伝子の網羅解析は今後リンパ行性転移を起こすマウス腫瘍株も含めて、ショットガン法あるいはシングルセル解析を用いて実施を予定している。これにより、所属リンパ節および肺実質の腫瘍細胞の性状だけでなく、それらを取り囲む腫瘍間質の性状を解析できることが期待される。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、網羅解析が延期しているが、プロテオーム解析の代わりにシングルセルのプロテオミクス解析の可能性が得られた。

Strategy for Future Research Activity

マウスにおけるヒトリンパ行性転移株を取得するため、引き続きマウス肺実質への移植実験を繰り返す。またシングル解析を行う準備を進め、より詳細な遺伝子解析を検討する。

Causes of Carryover

業者への振込手数料が想定より少額で済んだため、その分が未使用となった。次年度の研究費と合算し、消耗品類の購入費用に充当する予定である。