2021 Fiscal Year Research-status Report
甲状腺癌未分化転化前後のペア検体を用いた転化メカニズムの解明
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19K16846
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Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
ソバティ ソフィア 公益財団法人がん研究会, がん研究所 病理部, 研究員 (80774158)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 甲状腺がん |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、極めて貴重な同一症例内で分化癌と未分化癌の凍結試料を用いて、全ゲノムシークエンスを含むシークエンス解析を行い、分化癌の未分化転化を規定・予測する遺伝子異常の同定を行うことを研究目的にしている。ところが、甲状腺未分化癌は極端に予後が悪く、世界的に組織試料とくに凍結試料が乏しく、ほとんどの症例は手術にいたらないため、検体の収集は容易ではなく、この研究遂行の過程では改めて認識できた。さらに、この研究の独自性である同一症例内での分化癌と未分化癌とのペア凍結試料を入手するは一層困難であった。 これまで、肉眼的に集積してきた未分化癌と思われた部位から採取した凍結検体小片には、乳頭癌・濾胞癌のような分化癌の成分が混在していることも多く、それを正確に分化癌成分と未分化癌成分として核酸を抽出することが課題だった。この様な問題点を踏まえて、組織病理学的な事項や手法について経験豊富の病理学者と研究助手の支援を得られながら、より確実の組織検体を扱うことができた。出産・育児休業する前まで、同一症例の分化癌成分を有する未分化癌の高分化組織、未分化組織を用いて、全ゲノムシークエンスを行った。また、甲状腺未分化癌のエクソーム解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
甲状腺未分化癌は極端に予後が悪く、ほとんどの症例は手術に到らないため、検体数は少なく、さらに、同一症例内のおける乳頭癌のような高分化癌とペア検体が貴重さを一層のものとしています。ところで、未分化癌自体の検体数は多く集まれてきたが、同一症例内で高分化癌を発症し、その後未分化癌が発症したと思われた異時性症例の凍結検体中に、すでに悪性度の低い未分化癌が多く併存していたことや、未分化癌の凍結検体には、乳頭癌・濾胞癌のような分化癌の成分が共存していることが多く、それを正確的に分化癌成分と未分化癌成分として摘出することが極めて難しい課題となったため、時間がかかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、一次解析、二次解析から得られた結果に基づいて、分化癌の未分化転化を規定して、予測する遺伝子異常の同定を行うこと。さらに、臨床的発見様式の異なる未分化癌の遺伝子異常を比較し、分化癌から未分化癌への転化を特徴づける遺伝子群を同定すること。 同一患者内で未分化転化前後の検体が利用できるケースは極めて限られていることから、同一患者内で分化癌・未分化癌の時間的・空間的heterogeneityを直接的に示した解析に繋げていきたいと思う。
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Causes of Carryover |
1年間育児休業したため、研究費の支出額状況は変わりがない。 研究再開して、解析結果をまとめる過程で、独自性である同一症例内における高分化癌転化後の未分化癌とのペア凍結試料を集めつつ、追加試料として解析に加えてより信頼性のある解析結果を出したい。
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