2023 Fiscal Year Annual Research Report
甲状腺癌未分化転化前後のペア検体を用いた転化メカニズムの解明
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19K16846
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Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
ソバティ ソフィア 公益財団法人がん研究会, がん研究所 病理部, 研究員 (80774158)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 甲状腺未分化癌 / 次世代シーケンサー / がんの進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、世界的にも極めて貴重な同一症例内で分化癌と未分化癌の凍結試料を用いて、次世代全ゲノムシークエンス解析を含む解析を行うことで、分化癌の未分化転化を規定・予測する遺伝子異常を同定することが研究目的である。 同一症例内で同時性乳頭癌(PTC)と未分化癌(ATC)のペア検体2例を用いて、それぞれ全ゲノムシークエンスと全エクソームシークエンス解析、また、これまで初めて同一症例内で異時性濾胞型乳頭癌(FVPTC)と未分化癌のペア検体1例を用いて全エクソームシークエンス解析を行った。体細胞突然変異および進化系統樹分析より、同一症例内で同時性PTCとATCのペア検体において、ATC成分にはPTC成分より多くの発がんドライバー因子を含めたプライベート遺伝子変異がみられた。 さらに、PTC成分とATC成分では共通にBRAFおよびMAP3K1変異、ATC成分にTP53変異が観察されたことから、共存する成分の早期分離と独立進化を示唆した。一方、興味深いことに、 同一症例内で異時性FVPTCとATCのペア検体において、FVPTCにはATC成分よりも多くの体細胞変異が観察された。また、PI3Kシグナル伝達経路にBRAFなど複数のがん遺伝子に関連する遺伝子の変異はPI3K活性化と発がん未分化転換を引き起こす可能性があると考えられる。
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