2019 Fiscal Year Research-status Report
Regulation of immune initiation checkpoint by antibody
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19K16850
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Research Institution | Osaka International Cancer Institute |
Principal Investigator |
溝手 雄 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, がん創薬部研究員 (70801497)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | がん免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
腫瘍に対する獲得免疫の開始には抗原提示細胞による腫瘍細胞の貪食・腫瘍抗原の提示が必須であると考えられる。本研究で研究対象としているMFG-E8 (Milk fat globule-epidermal growth factor-factor 8) は死細胞の貪食に関与する重要な分子であることが知られている。MFG-E8は死細胞の貪食を促進するが、他方ではMFG-E8を介した貪食を行った抗原提示細胞は獲得免疫系を抑制する因子を放出し、微小環境を免疫寛容状態に傾けることが知られている。近年の研究ではMFG-E8の産生源は抗原提示細胞のみならず、腫瘍細胞からも産生されることが明らかとなっている。加えて、腫瘍におけるMFG-E8の発現が予後の悪化と相関するとの報告も、多様ながん種でされており、腫瘍微小環境における獲得免疫の調整とがんの増悪に関与する重要な分子と言える。 しかしながら、これまでの研究では宿主側(主に抗原提示細胞)から産生されるMFG-E8と、腫瘍細胞自身が産生するMFG-E8のどちらが(あるいは両方が)より腫瘍の増悪に重要であるかの検討はなされていない。本研究では宿主側のMFG-E8が欠損しているMFG-E8 KOマウス、および腫瘍側のMFG-E8が欠損しているMFG-E8 KO 細胞株を用いることでこの疑問を明らかとする。 MFG-E8 KOマウスは既に所持しているため、本年度はMFG-E8 KO細胞株の作製を行った。KO細胞株の作製およびその細胞株に再びMFG-E8を発現させることに成功しており、研究遂行に必要なツールの作製が完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画調書に記載した通り、初年度は研究推進に必要な動物モデル・細胞株の作製に注力した。下記に示す通り、研究に必要な細胞株の作製を完了しており、おおむね順調に進展している。 Crispr-Cas9システムを用いてMFG-E8をノックアウトしたMCA205(マウス線維肉腫)細胞株の作製に成功した。加えて、レトロウイルスベクターによりマウスMFG-E8の二種のアイソフォーム (Long form and Short form)をそれぞれ強制発現させたrevertant株の作製を完了した。いずれの細胞株も親株と比較してin vitroでの増殖速度に差は見られなかったため、in vivoでMFG-E8の腫瘍増殖への関与を検証するための有用なモデルであると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、研究計画調書の記載内容に従って研究を遂行する。 (1) 作製が完了した細胞株を用いてin vivoでのMFG-E8の腫瘍増殖への関与を検証する。 (2) MFG-E8 KOマウスへの抗PD-1抗体投与による治療実験を行い、抗MFG-E8抗体との併用療法の可能性を検討する。 (3) すでに作製したマウス由来の抗マウスMFG-E8モノクローナル抗体の大量精製を行い、in vivoでの投与試験に備える。
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Causes of Carryover |
一部今年度内に物品納品が間に合わなかったため、次年度使用額が発生した。 差額は次年度に引き続き物品費として使用する。
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