2020 Fiscal Year Research-status Report
非小細胞肺癌を対象としたオシメルチニブの効果予測因子に関するバイオマーカー解析
Project/Area Number |
19K16855
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
笠原 礼光 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (10815707)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 非小細胞肺癌 / EGFR遺伝子変異 / オシメルチニブ / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
非小細胞肺がんの治療においては、活性型EGFR遺伝子変異とともに耐性変異であるT790M変異を標的とした第3世代EGFR-TKIオシメルチニブが、初回治療において使用されている。しかしまだその耐性機序は明らかにされていない。近年、リキッドバイオプシーと呼ばれる血中循環DNAを利用したバイオマーカー検出が、組織検体の代替法として期待されている。本研究は高感度検出法であるデジタルPCRを用いて、初回治療としてオシメルチニブ治療を受ける患者の実臨床検体を用いた前向き観察研究により、血中バイオマーカーとオシメルチニブの治療効果との関係や耐性機序を明らかにすることを目的としている。現時点で目標症例数50例に対して、32例まで登録が進んでいる。登録症例を対象として治療開始前、治療開始1か月後、増悪時の3ポイントで採血を行い、血漿、血清を分離の上で院内のバイオバンクに保管している。保管した血漿については、市販のコバス社のDNAサンプルプレパレーションキットを用いてcell free DNAとして抽出し、院内のバイオバンクに保存している。cfDNAはBioRad社製のデジタルPCR(QX200 Droplet Digital PCRシステム)を用いて血中EGFR DNA量を測定している。 またEGFR遺伝子変異陽性患者の治療効果予測を行う研究の一環として、多施設共同の後ろ向き観察研究を行い、論文執筆を行い出版された(N Kasahara, Thorac Cancer 2020)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
目標症例数50例に対して、最初の1年で26例登録があったが、今年度は6例のみにとどまっている。コロナウイルス蔓延の影響で新規患者数が減少していることが、一因と考えられる。すでに集積された血漿からはcell free DNAを抽出し終わっており、デジタルPCRでの測定も完了している。みらか研究所との共同研究であるエクソソーム抽出によるバイオマーカー探索についても、やはりコロナウイルス蔓延の影響で遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
標症例数50例までは、後18例の症例集積が必要であるため、研究グループ内へ働き掛けて引き続き症例登録を進めていく。併せて血漿からのcell free DNA抽出作業やデジタルPCR(QX200 Droplet Digital PCRシステム)によるEGFR遺伝子変異DNA定量も行っていく。 みらか研究所と共同して行っているエクソソーム中バイオマーカー探索も、実臨床検体を用いての実験を予定していく。
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Causes of Carryover |
現在32例の症例集積が完了し、保存された血液検体からのcell free DNA抽出作業をコバス社のDNA サンプルプレパレーションキット(cfDNA)を行っている。また並行してcell free DNAからデジタルPCRを用いてのDNA測定も行っている。デジタルPCRはランニングコストが比較的高価であるため、今後予定した予算を使用する必要が出てくる。
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