2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K16861
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野村 基雄 京都大学, 医学研究科, 医員 (90609596)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 免疫チェックポイント阻害剤 / バイオマーカー / 抗PD-1抗体 / 短鎖脂肪酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成31年度は、課題①血漿・腫瘍組織中短鎖脂肪酸濃度の測定について、当院のバイオバンクに保存された検体を用いて測定し、先行研究で測定された便中短鎖脂肪酸濃度との相関、抗PD-1抗体の効果との相関を検討した。結果の概要:便中短鎖脂肪酸測定52名、血漿中短鎖脂肪酸濃度測定31名。便中・血漿中短鎖脂肪酸(酢酸/インドール酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ヒドロアンゲリカ酸、カプロン酸、コハク酸)を測定した。便中の酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸と血漿中プロピオン酸、イソ吉草酸は抗PD-1抗体に奏効症例で有意に高かった。抗PD-1抗体治療前の便中の酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸と血漿中イソ吉草酸が高値の症例は、有意に無増悪生存期間が長かった。ただし、それぞれの短鎖脂肪酸において、便-血漿の濃度に相関は認めなかった。本研究の解析結果を含めて特許出願した。本研究結果をまとめ、論文投稿し、採択された。課題②コンパニオン診断としてのvalidationについて、新規症例集積のため倫理委員会に申請した。課題③非臨床データの収集について、平成32年度より開始する予定の実験を行った。非臨床データを確立するための実験に必要な試薬を購入し、実験を行った。C57BL/6マウスに各種短鎖脂肪酸の濃度を50mM、100mM、150mM、200mMに変更し、2週間経口投与し、毒性徴候なく経過した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理由①について、本研究の解析結果を含めて特許出願した。本研究結果をまとめ、論文投稿し、採択された。 理由②について、計画の予定通り、新規に症例集積すべく倫理委員会に実施計画を申請した。 理由③について、翌年度より実施予定の非臨床データを確立するための実験に必要な試薬を購入し、実験を行った。 課題①の腫瘍組織中短鎖脂肪酸濃度測定が完了していないものの、来年度開始予定であった課題③が開始出来ているため。
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Strategy for Future Research Activity |
課題①について、腫瘍組織中短鎖脂肪酸濃度の測定手法を確立し、測定する。 課題②について、新規症例を集積し、便・血漿・腫瘍組織の短鎖脂肪酸濃度を測定し、課題①の結果のvalidationを行う。 課題③について、さらに非臨床データを確立するため、MC38大腸がん細胞を皮下注入移植したC57BL/6マウスに各種短鎖脂肪酸の濃度を50mM、100mM、150mM、200mMに変更し経口投与する。また、抗PD-1抗体との併用における腫瘍変化を検討する。
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Causes of Carryover |
当該年度は、旅費の支出が、当初の計画より多かったが、物品費が予定額以下であったため、3,000円が残額として発生した。 次年度は、当初の予定通り、抗PD-1抗体の効果予測バイオマーカーとして短鎖脂肪酸の開発を行い、短鎖脂肪酸による治療法開発の基盤を確立する。
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