2021 Fiscal Year Research-status Report
免疫チェックポイント阻害剤と他の癌治療を併用した際の細胞障害性T細胞活性の検証
Project/Area Number |
19K16866
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
坂本 信二郎 広島大学, 病院(医), 助教 (30816541)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | がんワクチン / 免疫チェックポイント阻害剤 / 細胞障害性T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫チェックポイント阻害剤は、様々な癌種で治療適応を獲得し臨床使用され、最近では、他の抗癌剤との併用療法や免疫チェックポイント阻害剤同士の併用治療が行われている。しかし併用療法を行った際に相加効果なのか、相乗効果なのかははっきりせず、どのようなメカニズムでこれらの協力作用が得られているのか明らかにはなっていない。さらに免疫チェックポイント阻害剤同士の併用治療においては免疫関連有害事象なども問題になっている。そこで本研究の成果によ り、どのような治療が免疫チェックポイント阻害剤との併用に有効であるか明らかにし、さらにがんワクチン療法といった免疫チェックポイント阻害剤とは異なるメカニズムでがん免疫に関連する治療が、免疫チェックポイント阻害剤と併用することで治療効果を増強し、併用薬となりえる事を示唆できると考え実験を行っている。 初年度・一昨年度は、使用するhumanのPBMCのHLA測定や抗PD-1抗体・抗CTLA-4抗体・がんワクチン療法をin vitroで行う際の適切な培養濃度の検証を終え、それぞれ培養下で細胞表面マーカーの測定や末梢血単核球細胞・腫瘍細胞を各治療環境下で培養し細胞傷害性Tリンパ球の活性状況の変化の測定を行った。細胞増殖能や細胞表面マーカーに3群で変化は見られなかったが、細胞障害活性(LDH assay)においては抗PD-1抗体・抗CTLA-4抗体で活性化したリンパ球はがんワクチンで活性化したリンパ球より腫瘍への細胞障害活性が高かった。昨年度は、これまでの検証を踏まえ、当初の予定である抗PD-1抗体・抗CTLA-4抗体・がんワクチン療法それぞれの併用下で検証を行ったが、十分な結果がえられず、併用療法の追加検証中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度は、現任施設においては測定機材の準備や前任地からの細胞・使用試薬の調達や検証実験から実験を開始したこととCOVID-19の影響での試薬などの調達の遷延や実験室の使用制限で実験が遅延していた。しかし、一昨年度は、使用するhumanのPBMCのHLA測定や抗PD-1抗体・抗CTLA-4抗体・がんワクチン療法 をin vitroで行う際の適切な培養濃度の検証を終え、それぞれ培養下で細胞表面マーカーの測定や末梢血単核球細胞・腫瘍細胞を各治療環境下で培養し細胞傷害 性Tリンパ球の活性状況の変化の測定を行った。細胞増殖能や細胞表面マーカーに3群で変化は見られなかったが、細胞障害活性(LDH assay)においては抗 PD-1抗体・抗CTLA-4抗体で活性化したリンパ球はがんワクチンで活性化したリンパ球より腫瘍への細胞障害活性が高かった。細胞障害活性への影響が強い要因に関しては有意な所見は見られなかった。さらに昨年度は本研究の目的である各治療の併用療法での細胞障害活性への影響を検証し、抗PD-1抗体・抗CTLA-4抗体併用群のリンパ球でやや腫瘍への細胞障害活性が高いものの有意差がみられなかった。原因として各薬剤でリンパ球のみの刺激を行っているため、樹状細胞なども影響する生体内と異なり刺激が弱い可能性を考慮し、追加で抗原提示細胞を共培養することにより各併用群で有意な影響の差が出るか検証を行う方針とした。 以上より初年度に現任施設における測定機材の準備や前任地からの細胞・使用試薬の調達に予想以上に時間がかかり、さらに環境変化に伴い検証実験から開始したため検証が遅延していた。さらにはCOVID-19の影響での試薬などの調達の遷延や実験室の使用制限も実験の遅延した影響が現在も残存し、抗原提示細胞を共培養する追加実験が必要となったため遷延している
|
Strategy for Future Research Activity |
単剤療法での検証が進んだため併用での検証や投与タイミングの検証を行ったが実臨床の結果と比較すると細胞障害活性など有意差がみられなかった。そのため、抗原提示細胞を共培養する追加実験が必要となった。当初、すべてをがん治療の患者の検体で行う事も検討したが、検体も有限であり、まずは健常人の検体で検証を行い、同治療を受けた患者の治療前後の検体で同様の反応が生じているかを検証する。放射線治療に関しては治療量を末梢血単核球細胞に直接照射を行うと死滅してしまうため、治療前後の影響の評価はできるが、in vitroでの検証は難しく、主には抗癌剤や免疫治療の併用を検証する
|
Causes of Carryover |
一昨年度・昨年度は、徐々に検証実験・各種実験を施行し検証が進んだが、初年度に現任施設における測定機材の準備や前任地からの細胞・使用試薬の調達に予想以上に時間がかかり、さらに環境変化に伴い検証実験から開始したため検証が遅延していた。さらにはCOVID-19の影響での試薬などの調達の遷延や実験室の使用制限も実験の遅延した影響から機材購入を行うも十分な研究が行えず、一昨年度は同物品の使用したこともあり、初年度の遅延分次年度使用額が生じた。 現在は、順調に検証を行っており、追加予定した検証実験を行う事に使用する予定である
|