2019 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of intra-tumoral heterogeneity of actionable genetic variations in Ovarian Clear Cell Carcinoma
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19K16874
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
竹中 将貴 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (00433988)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 卵巣明細胞癌 / 腫瘍内不均一性 / 次世代シークエンシング |
Outline of Annual Research Achievements |
卵巣明細胞癌は日本人での発生率が欧米に比して高い (日本:25%, 欧米:5-10%)。卵巣明細胞癌の最大の特徴は高率に化学療法抵抗性を示すことから予後不良な組織型として知られている。近年様々な癌腫において、転移病巣や再発病巣を含めた解析が施行されている。ゲノム・エピゲノム・腫瘍内微小環境などの腫瘍内不均一性(Intra-tumoral heterogeneity: ITH)が報告され、分子標的治療薬の効果との関連が示唆されているが、卵巣癌明細胞癌においては未だ報告がない. 本研究では、卵巣明細胞癌におけるITHに着目し、原発および転移病巣を含む複数病巣の遺伝子変異解析を行う。病巣ごとの治療関連遺伝子異常の分布を調査し、全ての病巣に共通に生じている真の治療標的遺伝子異常を同定することが本研究の目的である。 上記目的を達成するため、進行卵巣明細胞癌症例の抽出、病理学的レビュー、研究に使用可能なFFPEブロックの選定を行った。抽出した症例の原発病巣に対して、WT1およびNapsinAの免疫化学組織染色を施行し、分子生物学的に卵巣明細胞癌として矛盾しないことを確認した。現時点では8症例より得られた42病巣を解析対象とし、DNAの抽出を開始しているが、今後さらに症例数は増加する見込みである。同時に本研究のシークエンスで用いる遺伝子パネルの選定を行った。今後DNA抽出が終了し次第、シークエンス解析を開始する予定となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
所属施設倫理委員会および附属病院の承認の元研究を開始した。 所属施設における過去の卵巣癌症例より、多発転移を有する卵巣明細胞癌のうち、手術により複数病巣が摘出されている症例を抽出した。病理診断レポートおよび切り出し図より研究対象となり得るFFPEブロックを選定し該当FFPEのHE標本のレビューを行った。各ブロックの腫瘍細胞量および腫瘍細胞含有率をレビューし、DNA抽出範囲を示すマーキングを行った。 分子生物学的に卵巣明細胞癌と矛盾しないことを確認するため、対象症例の原発病巣を対象にWT1(卵巣高異型度漿液性癌のマーカー)およびNapsinA(卵巣明細胞癌のマーカー)の免疫組織化学染色を施行した。WT1陰性、NapsinA陽性症例は分子生物学的に卵巣明細胞癌であると判断した。 現在は腫瘍部分のマーキングを施行されたFFPEを元に、薄切標本のマーキング部分を削り出し、DNAの抽出をおこなっている。またシークエンスで用いるターゲット遺伝子パネルの選出はこれまでの経験や最新の知見を元に検討した結果、エクソームシークエンシングを用いることとした。 次年度はDNA抽出が終了し次第エクソームシークエンスを施行する。
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Strategy for Future Research Activity |
DNA抽出が終了し次第、次世代シークエンサーを用いた解析を開始し、シークエンスデータをもとに、病巣ごとの遺伝子異常プロファイルを同定する。過去の報告およびオープンデータベースを用いて、同定された体細胞変異の病的意義を検討する。病巣ごとに遺伝子異常の比較を行い、各症例における真の治療標的遺伝子を同定すると共に、明細胞癌癌化における遺伝子変異プロセスの解析を行う。 得られた研究結果を用いて、学会発表および論文作成を行う。良好な結果が得られた場合、解析症例の追加や真の治療標的遺伝子の詳細な機能解析を行うため、中長期的なより大きな研究費の獲得を目指す。
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Causes of Carryover |
本研究において初年度は、対象症例の抽出、臨床病理情報の収集、使用するFFPEブロックの選択、および免疫組織化学染色が主となったため予定していた研究費より使用が少なく、次年度使用額が生じた。次年度はDNA抽出および次世代シークエンシングを行う予定となったいるため、予定通りの研究費が必要となる見込みである。
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