2019 Fiscal Year Research-status Report
Search for treatment seeds of high grade renal cell carcinoma
Project/Area Number |
19K16875
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
大江 知里 関西医科大学, 医学部, 講師 (40469242)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 腎細胞癌 / 融合遺伝子 / 次世代シーケンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、腎癌の中でも特に非淡明細胞型腎細胞癌に焦点を当て、ドライバー遺伝子や治療標的となりうる遺伝子異常の探索を目的としている。さらに、組織形態や免疫染色による蛋白の発現を確認することにより、日常診療で効率よく当該遺伝子異常を伴う腎細胞癌を発見できることを目指している。 初年度は、遺伝子解析を行う症例を選定するための検討を行った。まず、当院の過去約600例の腎細胞癌のデータベースから、組織マイクロアレイを作製し、必要な免疫染色を併用した上で、最新のWHO分類第4版に基づく組織型分類を行った。淡明細胞型、乳頭状、嫌色素細胞/オンコサイト型、分類不能型など12種類の組織型に分類した。過去の転座に関連する組織形態の報告に基づき、MiTファミリー転座型腎細胞癌、粘液管状紡錘細胞癌、乳頭状腎細胞癌、分類不能型などの症例の中に、候補となる症例が含まれている可能性が示唆された。 一方、当初はNanoString社のnCounterシステムを用いて融合遺伝子解析を行う予定であったが、未知の転座パートナーの検出にも対応できるよう、次世代シーケンサー(NGS)による解析を行う方針に変更した。1症例あたりのNGSの解析の費用を考慮すると、今回目的とする独自のカスタムパネルを作成することが効率的と考えられた。そこで、肺癌などでは既に臨床的に効果が確認されている特異的な阻害薬が存在するALK, RET, ROS1融合遺伝子などを含めた約14遺伝子を含むカスタムパネルを作成した。最終的に、予算内で施行できる22症例をNGS解析用に選定した。病理診断の残余検体であるホルマリン固定後のパラフィンブロックから抽出したRNAのクオリティー検査では、核酸量や濃度ともに基準を満たしていた。これらの症例に対し、現在、高速シーケンス解析を施行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の最大の目的である融合遺伝子の検索を行う段階に到達できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、融合遺伝子の検出が最大の研究目的であるが、既知の融合遺伝子の検出のみならず、新規の転座パートナーが明らかとなる可能性もある。さらに、融合遺伝子検索症例では、RNA sequenceによる網羅的な遺伝子解析も行っており、一塩基ヴァリエーション(SNV)解析により同定された遺伝子の臨床病理学的特徴を明らかにし、新規治療ターゲットのシーズ探索も計画している。得られた遺伝子解析データに関しては、本学の附属生命医学研究所ゲノム解析部門と共同で、適切な結果の解釈を行っていく予定である。 次年度は、同定された遺伝子異常と臨床病理学的特徴を明らかにするとともに、免疫染色やFISHなどで該当する遺伝子異常の可視化を検討する。 今回NGSを施行できた症例は限られているが、免疫染色やFISHなどで可視化できた遺伝子異常に対しては、当院で保有する腎癌約600例の組織マイクロアレイを用いてさらなる症例集積を試みる予定である。
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