2019 Fiscal Year Research-status Report
新規抗ASCT2モノクローナル抗体を用いたKRAS遺伝子変異癌の治療戦略の開発
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19K16876
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
原 雄大 近畿大学, 薬学部, 助教 (20803779)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ASCT2 / 大腸癌 / モノクローナル抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請課題では、グルタミントランスポーターであるASCT2を標的とした、KRAS遺伝子に変異のある癌に対する治療効果について、申請者らが独自に取得した新規抗ASCT2モノクローナル抗体(mAb)を用い検討する。今年度は主に大腸癌について検討した。KRAS遺伝子に変異のあるヒト大腸癌細胞株、KRAS遺伝子正常のヒト大腸癌細胞株ともに、細胞膜上でASCT2が発現していた。しかしながら、xenograftモデルを用いた検討より、KRAS遺伝子に変異のある細胞由来の腫瘍の増殖は、抗ASCT2 mAb投与により増殖が有意に抑制されたものの、KRAS遺伝子正常の細胞由来の腫瘍では対照群と同程度の増殖であった。さらに、KRAS遺伝子変異のある細胞ではグルタミンの細胞内への取り込みが、抗ASCT2 mAb処置により有意に減弱していた。一方、KRAS遺伝子正常の細胞では、取り込みの抑制が認められなかった。以上より、ASCT2がKRAS変異の大腸癌の治療標的として有用である可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度では、抗ASCT2 mAbにより、KRAS遺伝子が変異した大腸癌細胞株由来の腫瘍の増殖を抑えることを明らかにした。KRAS遺伝子に変異を持つ癌に対する治療標的、in vivoにおいて抗癌効果のあるASCT2に対するモノクローナル抗体は未だ無いことより、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、大腸癌以外の癌種についても検討する予定である。さらに、抗ASCT2 mAbによる抗癌効果の作用機序の解析を行う予定である。
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