2019 Fiscal Year Research-status Report
肺腺がんにおけるEGFR-TKI耐性機構の一細胞解析による解明
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19K16879
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
鹿島 幸恵 国立研究開発法人国立がん研究センター, 先端医療開発センター, 研究員 (80831883)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 一細胞解析 / RNA-seq / scRNA-seq / MinION / ロングリード |
Outline of Annual Research Achievements |
非小細胞がん患者においてEGFR変異は、欧米では5-15%、日本人では50%の割合を占める (Kohno et al, 2015, Takahashi et al, 2016)。EGFR感受性変異を持つ患者では、第一、第二世代 EGFR-TKIが有力な手段とされてきたが、ほぼ全例で耐性の獲得が報告され、50%以上がT790M の変異獲得によるものである(Kobayashi et al, 2005, Pao et al, 2005)。T790Mを標的に開発され た第三世代EGFR-TKIオシメルチニブでもC797S,T790M lossといった複数の耐性変異が報告さ れている (Thress et al, 2017)。 EGFR-TKIに対する耐性獲得では、ゲノム変異、bypass pathway、MET amplificationとい った経路が示唆されているが、不均一性が存在する腫瘍内で、個々の経路がどの程度耐性獲 得に寄与しているかは明らかにされていない。また、EGFR遺伝子変異を惹起する機序の研 究も不十分である。 本研究では、第三世代EGFR-TKI投与後の肺腺がん細胞株を「経時的」に「一細胞レベル」 で「トランスクリプトーム解析及びEGFR変異同定」をすることで、耐性獲得細胞の発生時 期、細胞集団の変化、遺伝子発現変化、ゲノム変異解析により耐性獲得機序の詳細を明らか にすることを目的とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、1) 一細胞RNA-seq解析、2) 一細胞レベルでの変異の同定、3)実験系の検証の3つのパートに大きく分けられる。使用細胞株の変更はあったが、本年度は、1),2)の取得予定のデータセットの取得を進行することができた。現在、1), 2)の情報解析部分を引き続き進めている段階である。本研究の中で、EGFR-TKIに関する耐性への関与が示唆される2つの遺伝子が明らかにされ、その生物学的な意義の解釈を情報学的に行なっている。さらに、3)実験系の検証に関しても、培養細胞株を用いて候補遺伝子が薬剤併用のターゲットになりうるかどうかを検証中である。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度にデータ取得を行ったデータに関する解析を進める。当初の予定では、一細胞RNA-seq解析と特定の変異をターゲットにした変異解析、および実験系での検証のみの予定であったが、使用する細胞株の変更に伴い、一細胞レベルでのエピジェネティックな解析を追加することでより包括的にEGFR-TKI耐性メカニズムを明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
使用する細胞株に関する変更が生じたため。代わりに本年度にエピジェネティクス解析を行う予定であるため、最終年度の使用金額は当初の予定と変わらないと考えられる。
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Research Products
(1 results)