2022 Fiscal Year Annual Research Report
PD-1阻害による抗腫瘍効果の最大化を目指したTr2細胞の応用性の解析
Project/Area Number |
19K16881
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
但馬 正樹 京都大学, 医学研究科, 助教 (50815032)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | IL-10 / Dectin-1 / グルタミン代謝 / 免疫チェックポイント阻害 / 免疫関連副作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度において、Dectin-1刺激によって活性化する樹状細胞がどのようにIL-10産生性Tr2細胞を誘導しているのか、その分子基盤を解明するための研究を進めた。 申請者はこれまでの研究成果より、真菌の細胞壁などに多量に含まれるbeta-glucan が樹状細胞が発現するDectin-1 を介して認識され、そのシグナルがCD4+ T細胞のグルタミン代謝を制御することによりIL-10産生を誘導することを明らかにしていた。しかしながら、樹状細胞からCD4+ T細胞へとシグナルを伝達するその分子メカニズムに関しては解析が進んでいなかった。令和4年度は樹状細胞とCD4+ T細胞とをつなぐ分子メカニズムの解明を目指し、Dectin-1リガンドを使って樹状細胞を刺激することによって発現する分子の違いを俯瞰的に解析するためにRNA-sequence を行なった。この結果、異なるDectin-1刺激で共通してInhibin-beta A (Inhibin A を構成するサブユニット)の転写レベルの上昇を認めた。前年度までの解析で、Tr2細胞の誘導にはIL-4シグナリングが重要であることを見出してきたが、IL-4 とInhibin Aを同時にCD4+ T細胞に加えて刺激すると確かに高いIL-10産生を認めた。さらに、T細胞におけるInhibin Aの受容体としてALK4 が知られているが、ALK4阻害剤を使用することでTr2細胞からのIL-10産生を強く抑制できることを見出した。これらのことから、Tr2細胞の誘導メカニズムをIL-4 とInhibin A の2つの因子で説明することができることになり、炎症性疾患治療への応用を目指す上での分子基盤を明らかにすることができた。
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