2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K16884
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
中園 智晶 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (10835490)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 海馬 / 記憶 / 光遺伝学 / オシレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画においては、光遺伝学的手法(オプトジェネティクス)を用いた特定の神経ネットワーク活動の制御による記憶メカニズムの解明の解明を目指している。記憶には記銘・保持・想起のステップが存在し、それぞれのステップにおいて関与する神経ネットワークの振る舞いは変化していると考えられる。光刺激によって特定の神経細胞集団の活動を制御しうる光遺伝学の技術を使用することによって、特定の神経ネットワークのみを高い時間分解能において制御し、この記憶の個々のステップに関与する神経ネットワークとその振る舞いを明らかにすることができると考えられる。2020年度までに、記憶成績を評価するためのオペラントボックス内での行動課題の開発と、行動課題実行中の神経細胞活動の電気生理記録のための記録システムのセットアップ、および神経活動制御のための光刺激システムのセットアップを実施した。 2021年度ではオペラントボックス内で実施される記憶課題において、光遺伝学を用いて特定の神経経路の活動を、特定のタイムイベントにおいて妨害し、その行動成績への影響を検討する実験を中心に実施した。現時点までで得られた予備データのみではまだ不十分であり、さらに条件検討を進めてゆく必要がある。また並行して課題に関連するニューロンの振る舞いを解析すべく、多細胞記録実験も進行中である。こちらの電気生理実験のデータもまだ解析に十分な記録が終了できていないため、継続して実施してゆく。 実験の継続によって記憶のそれぞれのステップに関連する神経ネットワークとそのふるまいを明らかにしてゆくことで、我々の認知機能の根幹である記憶のメカニズムをより明らかにしてゆくことができると期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光遺伝学を用いた操作実験と、多点電極を用いた記録実験を並行して進行中である。未だに十分なデータが収集できているわけではなく成果が得られた段階にはないが、現在の実験をこのまま進行してゆくことで、当初の目的である記憶のステップごとに関与する神経ネットワークとその振る舞いを明らかにしてゆくことができると考えられる。 光遺伝学を用いた行動実験においては、当初想定したような行動への影響がいまだ見られていない点は、スムーズに進行していないポイントである。この点の克服については、光刺激によって神経活動を妨害するタイミングやその方法について、再度条件を検討しながら進めてゆく。
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Strategy for Future Research Activity |
電気生理実験においては、現在使用中の実験システムを使用して継続してデータの記録を実施してゆくが、そのスピードアップと効率化を目指して、記録ドライブを中心としたセットアップの見直しも並行して実施してゆく。具体的には、より軽量で動物への負荷の少ないヘッドアンプの導入や、左右半球を同時にターゲットにできるドライブの開発と言った改良を予定している。 光刺激実験においては、当初想定していたような行動への影響が未だ観察できていないことを再度検討しながら進行する。具体的には、刺激タイミングの再検討や使用する刺激装置をより強力で効率的に操作可能であると考えられる装置へと変更することなどである。 これら2つの実験を進行しデータ解析を行うことで、記憶のメカニズムの一端を明らかとし、学会発表・論文投稿の形で年度中に発表することを目指す。
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Causes of Carryover |
実験計画における行動課題の変更に伴って、動物一頭あたりの訓練期間・記録期間が想定より長引くこととなった。そのため当初は実験動物を購入する予定であった金額が繰り越されることとなった。今年度においては、遅延した分の実験動物の購入費用として利用する。
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