2020 Fiscal Year Research-status Report
Role of the reward circuit for decision process: a functional analysis in monkey ventral striatum
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19K16890
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
禰占 雅史 筑波大学, 医学医療系, 研究員 (10770414)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 腹側線条体 / 意思決定 / 報酬選択 / 神経活動 / 電気刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
腹側線条体は報酬選択の意思決定に関与している可能性が示唆されているが、報酬選択場面において腹側線条体の神経活動が直接的に意思決定シグナルの調節に関わっているのか、フィードバック信号のような形で間接的に関わっているのかは不明であり、これらを明らかにすることは報酬系回路における意思決定メカニズムを理解するうえで欠かすことが出来ない。 本研究では、サルの腹側線条体が報酬選択における意思決定シグナルの調節をどのように担っているのかを明らかにすることを目的としており、これを達するために報酬価値に基づく意思決定課題を遂行中のサル腹側線条体からの単一神経活動記録実験による神経活動の解析と電気刺激実験による選択行動の解析の2つの実験を計画している。 2020年度は計画していた2つの実験に関わる追加データなども含めて取り終えた。具体的には、報酬価値に基づく意思決定課題を遂行中の2頭のサル腹側線条体から記録した神経活動を解析した結果、2頭のサルで報酬価値をコードするニューロン以外にも、選択の有無をコードするニューロンや選択時にのみ報酬価値をコードするニューロンなどが見つかった。さらにこれらの情報はいずれも選択行動の実行前からコードされていた。また、報酬価値と連関した視覚刺激の提示期間に腹側線条体への電気刺激を行ったところ、もともと選択傾向が不安定だった中間量の報酬価値条件においてのみ電気刺激による行動変化が2頭で同様に観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度も計画通りに進み、解析に必要な2頭からのデータを取り終えた。現在は様々な側面からのデータ解析を進めており、視覚刺激呈示開始時を起点とした神経応答解析では腹側線条体において特徴的な意思決定に向けた情報遷移過程を可視化できた。また、選択行動開始時を起点とした神経応答解析にも取り組んでいる。 以上のことから、本研究は概ね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度はより詳細な解析を進め、過去・現在・未来の選択行動と記録した神経活動との関係性など、多様な側面からサル腹側線条体が報酬選択における意思決定に果たす役割を明らかとしていく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により参加した学会がウェブ開催に変更になり、出張旅費が不要になったために次年度使用額が生じた。 翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画としては、現在データ解析に取り組んでいるがデータの計算量が膨大であり予定よりも時間を要しているため、解析用パソコンの性能向上に充てる予定である。
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