2019 Fiscal Year Research-status Report
機械学習を用いたニューラルオシレーションの非正弦性機能メカニズムの解明
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19K16891
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大城 武史 大阪大学, 医学系研究科, 特任研究員(常勤) (70807875)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ニューラル・オシレーション / 非正弦性 / リップル / スピンドル / スローオシレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ニューラル・オシレーションの非正弦性とその機能的意義の解明にある。この研究目的達成に対する、今年度の研究実績は主に下記の3点が挙げられる。 第一に、本研究目的達成の為に必要なデータ収集を行った。データの収集には、外科的てんかん治療を目的として、頭蓋内に電極が留置された患者11名を対象とし、その計測には脳磁図と頭蓋内電極による同時計測法を用いた。これにより、ニューラル・オシレーションの非正弦性をより精緻に評価する事が可能となった。 第二に、本研究目的を達成する為のあらたな計算手法の開発と実装を行った。従来手法の多くは、オシレーションの正弦性を前提とした正弦kernelを用いた畳み込みを用いている。これらの手法は、オシレーション成分の非正弦性の評価には不適切である。そこで、本研究の独自性として、正弦kernelを用いない新たな計算アルゴリズム、一般化固有値分解を用いて、正弦性を前提としないオシレーション成分の抽出を行った。今年度は、このアルゴリズムを、様々なオシレーション成分の中でも、より強い非正弦性を有していることが予想されるsharp-waves ripples (SPW-Rs)の抽出に用いた。その結果、畳み込みを用いなくても、SPW-Rsが抽出可能となることが初めて明らかになった。また、従来脳磁図では取得困難とされていたSPW-Rsが、脳磁図でも取得可能であることが、頭蓋内電極との比較を通して、初めて明らかになった。 第三に、本研究に関連した研究成果の報告を行った。具体的には、査読付き海外学術論文誌への掲載(1本)と、本研究目的に関連した内容のシンポジウムをオーガナイザーとして企画し、日本神経科学学会2020の公募シンポジウムに応募、採択された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまでのところ、データの収集、および必要なアルゴリズムの実装、その成果発表と順調に進められてきている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、SPW-Rs以外のニューラル・オシレーション、とりわけspindleやslow oscillationなどにも、同様の手法を適応し、より包括的なオシレーション成分の非正弦性の定量化を行う予定である。また、本研究目的を通して、海外の研究者との意見交換等も、随時行ってっく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ等の影響により、実施予定であった一部の業務等の実施を見合わせた為、予算執行に差額が生じた。これらの差額は、今年度中に解消される予定である。
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Research Products
(3 results)