2021 Fiscal Year Research-status Report
神経炎症に起因する統合失調症霊長類モデルの妥当性評価および画像マーカーの確立
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19K16896
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鴻池 菜保 京都大学, 霊長類研究所, 特定助教 (80645169)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 霊長類 / 脳波 / 種間比較 / 聴性定常反応 / バイオマーカー / 統合失調症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、神経炎症仮説に基づいた統合失調症霊長類モデルを用いて行動の定量化、脳波計測によりそのモデルの妥当性を評価することを目的とした。げっ歯類モデルの作出方法に倣い、新生児サル(アカゲザルおよびコモンマーモセット)に炎症性サイトカインの一種を全身投与し、神経炎症に起因する疾患モデル霊長類を作出した。これらのうち、複数の個体が生後数年経過したところで行動異常(他個体への関心の低下や社会交渉の減少もしくは異常亢進、認知機能の低下)を示している。本年度は健常アカゲザル5頭/マーモセット5頭、疾患モデルアカゲザル2頭/マーモセット5頭から脳波を計測した。脳波のなかでも特に高次認知機能にも関わるとされ、ヒト統合失調症患者で異常が報告されている連続した音刺激への神経応答である「聴性定常反応」に注目して比較した。その結果、疾患モデルのアカゲザル2頭で健常個体と比べて聴性定常反応の低下がみられ、これはヒト統合失調症での変化と一致した。一方で、マーモセットではモデル個体の年齢や呈示する音の周波数によって健常個体と異なる脳波変化を呈し、経時的な脳波計測が必要だと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
脳波実験のデータ取得自体は順調であるが、コロナ禍による学会中止等で成果発表が遅れた。このため、次年度へ繰り越すとともに国際学術誌への投稿や学会発表などを実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
疾患モデル個体での経時的な脳波データの計測とともに、これまで得られた成果についての発表を中心に課題を推進していく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で海外学会での成果発表が出来なかったため、論文投稿もずれ込んでしまった。現在、本研究での成果をまとめた論文を国際学術誌に投稿中であり、また学会発表も一年ずれたため、次年度に成果発表費用を持ち越す必要がでてきた。
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