2022 Fiscal Year Annual Research Report
発達障害児の内因性カンナビノイド系プロファイルと臨床表現型の解析
Project/Area Number |
19K16898
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
大橋 圭 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (10824576)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 内因性カンナビノイド / 神経発達症 |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉スペクトラム症 (Autism Spectrum Disorder, ASD)の臨床症状は多様であり、様々な臨床表現型の集合体である。その病因は多様であり、発症メカニズムには、環境要因と遺伝要因の両者が複合的に関与しており、単一の病因で説明するのは困難であると考えられている。“内因性カンナビノイド(endocannabinoid, eCB)系の乱れ”は環境要因と遺伝要因の両者から影響を受けるASDの統合的な病因(中間表現型)の一つと考えられている。 自閉スペクトラム症(ASD)児47人を対象に内因性カンナビノイドプロファイル(カンナビノイド1(CB1)受容体、カンナビノイド2(CB2)受容体、内因性カンナビノイドの代謝酵素であるFAAH(fatty acid amide hydrolase)およびMAGL(monoacylgrycerol pipase))の発現量(mRNA)と臨床表現型(AQ (Autism-Spectrum Quotient)児童版、SRS (Social Responsiveness Scale) -2、ADHD-Rating Scale)の関連性の解析を行った。全体的な自閉傾向の強さとそれぞれのmRNAの発現量に有意な相関は認めなかったが、CB1受容体のmRNAの発現量と下位尺度である“注意の切り替え”、CB2受容体のmRNAの発現量と“注意の切り替え” ・“想像力”に統計学的に有意な相関を認めた。自閉スペクトラム症の特定の臨床症状と内因性カンナビノイドプロファイルに関連性があることが示された。 より詳細に内因性カンナビノイドプロファイルを明らかにすることで、自閉スペクトラム症の病態の解明や治療薬の開発につなげられる可能性が示唆された。
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