2019 Fiscal Year Research-status Report
早期発症型てんかんの新規責任遺伝子同定および発症機序の解明
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19K16921
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
今村 江里子 (輿水江里子) 横浜市立大学, 医学研究科, 特任助教 (80637877)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 進行性ミオクローヌスてんかん / 全エクソームシーケンス / ゼブラフィッシュ |
Outline of Annual Research Achievements |
発達性およびてんかん性脳症を呈する患者346例の全エクソーム解析データを用いて、遺伝子変異を探索した結果、2例からSEMA6B遺伝子にタンパク質短縮型のde novo変異を検出した。SEMA6B遺伝子に着目して、同疾患やその類縁疾患を呈する別の患者5,699例の全エクソームシーケンシングの解析データから変異を探索したところ、3例からSEMA6B遺伝子にタンパク質短縮型のde novo変異を検出した。これらの遺伝子変異は、全てナンセンス変異依存性メッセンジャーRNA分解(NMD)を受けない最終エクソンに存在した。これらの遺伝子変異はSEMA6Bタンパク質の細胞内領域を翻訳する領域の途中で未成熟終始コドンを作るため、細胞内領域が欠損したSEMA6Bタンパク質が産生されると考えられた。一方で、一般集団の遺伝子変異データベースに登録されているタンパク質短縮型変異は、NMDを受ける領域に存在した。以上より、SEMA6Bタンパク質の細胞内領域をコードするC末端が欠損した短縮型のSEMA6Bタンパク質が産生されることが、疾患の原因である可能性が示唆された。 更にモデル実験動物のゼブラフィッシュを用いて、CRISPR/Cas9システムを利用したsema6b遺伝子の変異体を作製した。その結果、sema6b遺伝子の細胞内領域が欠損したモザイク変異体の中枢神経において、神経細胞の減少が観察された。また、ペンチレンテトラゾール(PTZ:けいれんを誘発する化合物)を使用した実験を行い、行動をモニタリングした。NMDを受けないsema6bモザイク変異体では、行動量の増加、体を横倒しにした異常遊泳、不随意運動のようなヒトのミオクローヌスてんかんに類似した行動が顕著に現れた。得られた結果は科学雑誌への投稿を行い、学会発表も計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
既に進行性ミオクローヌスてんかんの新規遺伝子として、5例からSEMA6B遺伝子に病的変異を検出した。ゼブラフィッシュを用いた疾患モデル動物の検証も進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
責任遺伝子が未同定の発達性およびてんかん性脳症を呈する症例に対し、全エクソーム解析を行う。更なるSEMA6B遺伝子変異を有する症例の集積を試みる。
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Causes of Carryover |
継時的に解析検体を集積しているため、次年度使用額から全エクソーム解析を行う必要がある。機能解析も継続して行ているため、それに伴うモデル動物の維持費および試薬類が必要となる。また、成果を学会で発表するための経費が必要となる。
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Research Products
(3 results)