2021 Fiscal Year Research-status Report
ショウジョウバエ神経疾患モデルによるミトコンドリア軸索輸送障害の解明と治療開発
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19K16924
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
森井 芙貴子 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60806842)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | シャルコー・マリー・トゥース病 / ショウジョウバエ / 疾患モデル / CMT2A / キネシン / 神経変性疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はミトコンドリア軸索輸送障害の分子的治療標的を新たに開発するため、遺伝性末梢神経障害の原因遺伝子であるMFN2に注目した。MFN2の遺伝子異常を持つ患者では末梢神経最遠位部での神経変性が生じることから、ミトコンドリアの末梢への移動が病態の中心であると予想された。我々は神経変性モデルとしてヒトMFN2に相当するショウジョウバエのMarfノックダウンショウジョウバエについて、既に神経特異的Marfノックダウンで運動機能障害が生じることを確認した。Marfの他に、ヒトTDP43に相当するTBPHノックダウンショウジョウバエ、ヒトFUSに相当するCazノックダウンショウジョウバエについても神経特異的ノックダウン系統を作製し、同様に運動機能障害が生じることを確認した。これらの系統はキネシン蛋白の一種であるKlp68Dノックダウンショウジョウバエと交配すると運動機能の改善が見られた。一方、Klp68D強制発現ショウジョウバエとの交配では運動機能に変化はなかった。網羅的遺伝子発現解析ではMarf、TBPH、CazとKlp68Dのダブルノックダウンでは共通してHsp70の発現が有意に低下していた。このことからKlp68DとHsp70の遺伝的相互作用が示唆された。Klp68D、Hsp70が関与するパスウェイの文献的探索より、既存の低分子化合物(抗生物質、抗がん剤を含む)を複数ピックアップし、これらを神経変性モデルショウジョウバエに摂取させることで運動機能の変化を観察する実験を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定ではiPS細胞を用いた細胞モデル実験の併用を計画していたが、世界的なコロナ禍による実験用試薬や物品の生産制限・流通制限・価格高騰のため実験の遂行が困難となり、ショウジョウバエモデルでのin vivo実験のみを中心に進めることとした。神経変性モデルショウジョウバエでの化合物スクリーニングまで進んでいる点は計画通りと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍やウクライナ問題などによる世界的な実験用資材の供給混乱が収束する見通しが立たないため、ショウジョウバエモデルによるin vivo実験を進める。候補化合物をショウジョウバエモデルに投与する薬物スクリーニングを令和4年中に終わらせる予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により研究用資材の生産・流通に大幅な乱れが生じ、当初予定していた物品購入が実施できなかったため。次年度使用額については実験遂行に必要な消耗品の購入に充てている。
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Research Products
(1 results)