2021 Fiscal Year Research-status Report
血中alpha-synucleinの解析で明らかになる病態特異的な伝播メカニズム
Project/Area Number |
19K16928
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
奥住 文美 順天堂大学, 医学部, 助教 (90826075)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | alpha-synuclein / パーキンソン病 / RT-QuIC / 多系統萎縮症 / レビー小体型認知症 |
Outline of Annual Research Achievements |
パーキンソン病(PD)および多系統萎縮症(MSA)は進行性の難病であり、責任タンパク質であるalpha-synuclein (AS)の凝集体沈着が共通病理として認識されてい る。我々は、異常タンパク質を増幅する技術であるRT-QUIC (Real-time quaking-induced conversion)を利用することでPDおよびMSA患者の血清中を循環する構 造異常を伴う微量ASを検出することに成功した(特開2018-159694)。今年度の実験ではレビー小体型認知症(DLB)患者10症例、レム睡眠時行動異常症(RBD)患者12症例を、昨年度までのPD,MSA, コントロール、アルツハイマー型認知症、進行性核上性麻痺の症例に加えて血液RT-QUICを行い解析した。PDと同様にDLB患者の血液サンプルでは感度特異度90%で健常コントロール含めた非シヌクレイノパチーとが鑑別可能であることを示した。RBD患者ではRT-QuICの陽性率は10%前後であった。さらに今年度はDLBおよびRBDの血液RT-QUICから得られた産物において、AS構造ついて詳細な検討を行った。その結果DLB患者由来のASは電子顕微鏡ではPDと同様に短径が短い線維であることが確認された。形態学的にはDLBではmulti twisted filamentsを呈した。さらに、ASのC末端にGFPが融合した、AS凝集能がより高いA53T変異をもつASをHEK293細胞に安定発現させた細胞株を作成し、線維化したASをシードとして細胞に導入し、細胞内でGFP-ASの凝集体を形成させた。細胞内AS-GFP凝集体の密度を解析したところ、DLBではPDやMSAとは異なる細胞内凝集構造を呈し、RBD患者由来ASは全てDLBタイプであり、血清ASシードがシヌクレイノパチーに特異的であり、その構造が異なることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、RT-QuIC法を用いてDLBおよびRBDのコホートに関して血清ASシードを解析し、感度・特異度を割り出し診断バイオマーカーとしての有用性を検討した。また血清由来RT-QuIC産物を電子顕微鏡および細胞実験を用いて解析しDLBもPDやMSAとは異なる細胞内凝集体構造を呈し、RBDに関しては将来的にどのフェノタイプに進展するかを区別できるポテンシャルを秘めていることを示した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在in vivoの実験において血清由来RT-QuIC産物に伝播能があるか、またその伝播能はPDとMSAで異なるかを調べるためにマウスにPDおよびMSA, DLB由来シードの投与が完了している。今後はASが取り込まれる細胞にPDとMSAで違いがあるかを免疫組織学的染色およびフローサイトメトリーを用いて解析する。伝播や取り込まれる細胞が異なった場合、その因子についてさらに解析する。
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Causes of Carryover |
コロナ下の影響で購入予定の試薬は物品が納入されなかった。今年度中に納入予定であり、PDとMSA由来シードの解析をフローサイトメーターやin vivoモデルを使用して引き続き解析する予定である。
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