2022 Fiscal Year Annual Research Report
血中alpha-synucleinの解析で明らかになる病態特異的な伝播メカニズム
Project/Area Number |
19K16928
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
奥住 文美 順天堂大学, 医学部, 准教授 (90826075)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | αシヌクレイン / パーキンソン病 / 多系統萎縮症 / RT-QuIC |
Outline of Annual Research Achievements |
パーキンソン病(PD)および多系統萎縮症(MSA)は進行性の難病であり、責任タンパク質であるalpha-synuclein (AS)の凝集体沈着が共通病理として認識されてい る。我々は、異常タンパク質を増幅する技術であるRT-QUIC (Real-time quaking-induced conversion)を利用することでPDおよびMSA患者の血清中を循環する構 造異常を伴う微量ASを検出することに成功した。本研究では、α-シヌクレイノパチー患者270名、非α-シヌクレイノパチー患者55名、神経変性疾患ではない健常者128名、レム睡眠行動異常症(RBD)患者9名の血清サンプルから、α-シヌクレインシードを濃縮し、RT-QuIC法を用いて病的α-シヌクレインを増幅した。その結果、 α-シヌクレイノパチーであるPDで95%、DLBで90%、MSAで64%、またRBDでは44%の患者からα-シヌクレインシードが検出された。非α-シヌクレイノパチー全体では9%、対照では8.5%の検出率であり、α-シヌクレイノパチー群でのα-シヌクレインシードの検出が有意に高い結果となった。 次に、各疾患患者群の血清から増幅したα-シヌクレイン凝集体を電子顕微鏡で確認したところ、PDとMSAで両者の構造が異なることを示した。さらに、増幅したα-シヌクレイン凝集体を、GFP結合A53T変異型α-シヌクレインを安定発現させたHEK293T細胞へ導入し、細胞内に形成された凝集体を観察したところ、密度が低い紐型、高密度型、線維が絡み合いやや密度が低い中密度型と三つの異なった構造を持つ凝集体が観察され、各シヌクレイノパチーの疾患毎に形成される凝集体の割合が異なることを見出した。この特性を用いることで、α-シヌクレイノパチーの鑑別が可能であることも示された。
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