2020 Fiscal Year Research-status Report
神経変性疾患iPS細胞研究の基盤となる老化脳内環境モデルの確立
Project/Area Number |
19K16930
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
志賀 孝宏 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (50784378)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 老化 / 神経変性疾患 / iPS細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルツハイマー病やパーキンソン病を含む神経変性疾患を患うヒトの増加が懸念されているが、神経変性疾患には根本的な治療は存在しておらず、いまだに対処療法が主である。申請者は、化合物を用いた加齢速度の調節(老化)とグリア系細胞との共培養(脳構造)を組み合わせた、新たなデバイスを作成し、高齢発症新家変性疾患の病態解析への応用を目指している。 2020年度は、昨年度行うことができなかった以下の研究計画を実地した。 ①我々が同定した化合物を用いた人為的な老化促進技術がiPS細胞由来ドパミン作動性ニューロンの自己発火頻度を増加させることを微小電極アレイ(MEA)を用いて確認した。2019年度の結果も踏まえて、同定した化合物によるiPS細胞由来ニューロンの加齢速度を促進させるシグナル経路を同定した。また、短期間培養での自己発火検出を可能する技術を確立した。②iPS細胞由来ニューロンと同様にiPS細胞由来グリア系細胞においても加齢速度を促進させるシグナル経路の同定を行った。③各領域特異的なiPS細胞由来アストロサイト(前脳・中脳・脊髄)を作り分ける技術を確立した。④加齢促進化合物を処理したニューロン・グリア系細胞の共培養の条件を確立した。 今年度は、COVID19の影響により、パーキンソン病iPS細胞モデルやアルツハイマー病iPS細胞モデルを用いた疾患モデルの解析まで至らなかった。引き続き、疾患モデルを用いた解析を行っていくことで、高齢発症神経変性疾患の病態解析や創薬スクリーニングへの応用を目指す。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、老化促進化合物やグリア系細胞の解析は比較的進んだ。しかし、本申請で確立した技術を用いて、パーキンソン病iPS細胞モデルやアルツハイマー病iPS細胞モデルといった疾患iPS細胞を使用した病態解析を行う予定であったが、COVID19の影響により研究計画に遅れが出ている。
|
Strategy for Future Research Activity |
健常者iPS細胞由来ニューロン・グリア系細胞の共培養条件の最適化は終わったが、疾患モデルを用いた解析を行うことができなかった。本年度行うはずであった疾患モデルの解析への応用を行うことで、従来法では困難であった病態表現型の検出を行い、疾患モデルへの有用性を検証する。引き続き、高齢発症神経変性疾患の病態解析や創薬スクリーニングへの応用を目指したシステムの開発を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
本年度は、COVID19の影響により研究期間の制限および消耗品などの搬入が遅れたため次年度への延長申請を行った。次年度使用額である資金は、本年度行うはずであった疾患モデルを用いた解析の研究を行うために使用する。
|
Research Products
(2 results)