2022 Fiscal Year Annual Research Report
脱抑制によって活性化する興奮性脊髄介在ニューロンネットワークの解明
Project/Area Number |
19K16931
|
Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
三上 貴弘 昭和大学, 医学部, 普通研究生 (80834944)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 脊髄 / 興奮性介在ニューロン / 抑制性介在ニューロン |
Outline of Annual Research Achievements |
脊髄内にあるニューロンネットワークは通常抑制されており、脱抑制により不規則な発作様の自発バースト活動が全ての髄節の前根から記録される。この脱抑制によりはじめて出現する神経回路網(バーストジェネレータ、BG)は、脊髄損傷などの障害時の機能的ネットワークの再構成において重要な役割を担うと考えられる。我々は本研究課題をはじめるにあたり以下の4つの仮説を立てた。①BGは各髄節内に存在する。②バースト持続時間は含まれる興奮性介在ニューロンの数で決まる。③BGを抑えている抑制性ニューロンは同一髄節内にある。④異なる髄節にあるBGを別々に駆動できる。2022年度はこれまでに新生ラットの(脳幹-)脊髄摘出標本で得た実験結果を3本の論文にまとめた。Takahashiら(Showa Univ J Med Sci, 2023, in press)では、ストリキニーネ投与による脱抑制が3脊髄節ブロック標本の全前根に自発性活動を誘発させること、バースト持続時間はブロック標本の大きさとは無関係であることを報告した。この結果は仮説①③を支持する。さらに第3-5頚髄領域の局所的脱抑制は第4頚髄前根のみならず全前根に同期した自発性バーストを誘発させることを示した。脱抑制下で横隔神経感覚線維への電気刺激は横隔神経のみならず第4頚髄前根から分岐する他の脊髄神経にも同期したバースト活動を誘発した。これらは仮説②④を否定する。Mikamiら(J Physiol Sci, 72: 24, 2022)では、脱抑制による吸息性運動出力の増大が吸息性介在ニューロンの発火頻度の増大によることを示唆する結果を報告した。Linら(Biomed Res, 44: 41-49, 2023)では、脳幹-脊髄摘出標本でカンナビノイド受容体を介した脳幹からの下行性入力により脊髄の脱抑制による自発活動の出現が抑えられていることを報告した。
|