2021 Fiscal Year Research-status Report
アルツハイマー病モデルの神経・グリア由来エクソソームによる認知機能制御機構の解明
Project/Area Number |
19K16933
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
松田 孟士 立命館大学, 薬学部, 助教 (00804759)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | アルツハイマー病 / モデルマウス / 認知機能障害 / 行動解析 / エクソソーム / 神経細胞 / グリア細胞 / 神経炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経変性疾患であるアルツハイマー病では、アミロイドβやリン酸化タウといった凝集性の高いペプチドやタンパク質が脳内に広く蓄積することによって神経細胞の構造や機能が障害される。また、タンパク質を内包するエクソソームはそれらの疾患関連分子の細胞間伝播に密接に関わり、脳内で大規模な神経ネットワーク障害を引き起こして認知機能障害の誘因になり得る。本研究では、認知機能が障害されたアルツハイマー病モデルマウスを用いて、認知機能障害の発症時に脳内の神経細胞あるいはグリア細胞からエクソソームによって他細胞にどのようなタンパク質がどのように伝播しているのかを調べる。それにより、アルツハイマー病における神経・グリア由来エクソソームによる認知機能制御メカニズムを明らかにする。 当該年度では、新奇物体認識試験やモリス水迷路試験など複数の行動実験を行って確立した、認知機能障害が認められるいくつかのアルツハイマー病モデルマウスの脳組織を用いて、アルツハイマー病に関連するアミロイドβやリン酸化タウの蓄積などの脳内の病理変化および炎症反応について調べ、認知機能障害発症前のサンプルと比較して凝集性の高いタンパク質の蓄積や炎症反応が有意に増大していた脳領域とその病態の詳細な解析を進めた。また、認知機能障害を有するアルツハイマー病モデルマウスの脳組織および血液サンプルを用いて、炎症反応に密接に関わるものを含めアルツハイマー病に関わる疾患関連タンパク質の発現量の解析を進めた。当該年度に引き続き、次年度も採取した認知機能障害をもつアルツハイマー病モデルマウスの脳組織および血液サンプルを用いてエクソソーム解析を進める予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
複数の行動実験により確立した、認知機能障害を有するいくつかのアルツハイマー病モデルマウスの脳組織における凝集性の高いタンパク質の蓄積などの病理変化や炎症反応の解析が進み、またそれらの脳組織および血液サンプルを用いて、アルツハイマー病に関わる疾患関連タンパク質の発現量についての解析が進んだ。一部のエクソソーム解析を含む実験において、やや遅れが生じた。
|
Strategy for Future Research Activity |
エクソソーム内のタンパク質に対する高感度測定系を用いて、認知機能障害発症前のマウスと認知機能障害をもつアルツハイマー病モデルマウスの脳組織および血液サンプルのエクソソーム解析を進める。それらを通じて、アルツハイマー病モデルマウスの認知機能障害に寄与するエクソソームの分子病態の解析を進め、アルツハイマー病の新たな認知機能障害の発症・進行メカニズムの解明を試みる。
|
Causes of Carryover |
一部の実験に想定よりも時間を要し、実験の進捗に遅れが生じたため、エクソソーム解析を含め、該当する実験を次年度以降も引き続き実施することにした。次年度使用額は実験の遂行に必要となる経費や実験器具、実験試薬、実験用小動物にかかる費用、その他の研究成果の取りまとめに必要な経費として用いる。
|
Research Products
(1 results)
-
[Journal Article] Thiazoline-related innate fear stimuli orchestrate hypothermia and anti-hypoxia via sensory TRPA1 activation2021
Author(s)
Tomohiko Matsuo,Tomoko Isosaka, Yuichiro Hayashi, Lijun Tang, Akihiro Doi, Aiko Yasuda, Mikio Hayashi, Chia-Ying Lee, Liqin Cao, Natsumaro Kutsuna, Sachihiro Matsunaga, Takeshi Matsuda, Ikuko Yao, Mitsutoshi Setou, Dai Kanagawa, Koichiro Higasa, Masahito Ikawa, Qinghua Liu, Reiko Kobayakawa, Ko Kobayakawa
-
Journal Title
Nature Communications
Volume: 12
Pages: 2074
DOI
Peer Reviewed / Open Access