2019 Fiscal Year Research-status Report
脳梗塞内に生じる新規幹細胞の動態解析と遺伝子改変マウスを用いた神経再生機構の解明
Project/Area Number |
19K16934
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
土居 亜紀子 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (70793321)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 傷害誘導性神経幹細胞 / ペリサイト / 神経再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は脳梗塞病態時に特異的に誘導され、神経再生機構の鍵を握る新規幹細胞(脳傷害誘導性神経幹細胞:injury induced-Neural Stem/Progenitor Cells, iNSPCs)を発見し、その特性に関してこれまでに報告してきた。しかしながら、iNSPCsによる内在性神経再生亢進を標的とした新規神経再生療法を開発するためには、iNSPCsの詳細な生体内動態を解明する必要がある。そこで、本研究では細胞の生体内動態の解析に用いられているCre-loxPシステムを活用しiNSPCsとその起源と考えられるペリサイトに発現する遺伝子のプロモーター調節下にCreリコンビナーゼを発現する遺伝子改変マウスを用い、脳梗塞病態下におけるiNSPCs/ペリサイトの生体内トレースを行うことで脳梗塞後の内因性神経再生機構を明らかにする。 今年度は、遺伝子改変マウス作製のため、nestin-CreERTマウスとYFPレポーターマウス(ROSA26-stop-YFPレポーターマウス)と交配させ、nestin-CreERT2/Rosa26-YFPマウスを作製し、遺伝子改変マウスによる脳梗塞の作製を中大脳動脈の永久閉塞にて行った。iNSPCsによるnestin発現時期に合わせてTamoxifenを投与することでYFP陽性iNSPCsの生体内動態を追跡するため、脳梗塞急性期から慢性期 (3日、5日、7日、14日、28日後) にかけてYFP陽性iNSPCsと神経細胞マーカーを用い、二重免疫染色を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
タモキシフェン投与量について比較検討おこなったことや、遺伝子改変マウスによる脳梗塞モデルの作製では梗塞体積にばらつきがあったため、サンプル採取に時間がかかったが順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
nestin/YFP発現細胞の生体内動態とその神経分化能を検討するため、脳梗塞後のnestinを発現したYFP陽性iNSPCsの生体内動態を観察し、脳梗塞急性期から慢性期 (3日、5日、7日、14日、28日後) にかけてYFP陽性iNSPCsがいかなる時期にどのような神経系の細胞に分化するかを検討する。さらに、分化ニューロンの神経ネットワーク形成能(シナプス連絡)を免疫電顕などで観察する。 nestin/YFP発現細胞およびNG2/YFP発現細胞のin vitroにおける特性に関して検討するため、脳梗塞巣よりnestin陽性iNSPCsを単離する技術を応用し、nestin/YFPおよびNG2/YFP陽性iNSPCsがspheroidを形成するかどうかに関して検討する。また、spheroid形成YFP陽性iNSPCsの神経分化能を免疫組織化学染色、PCR等にて検討する。
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Causes of Carryover |
遺伝子組み換えマウスを購入するため、経費を次年度に持ち越した。
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