2021 Fiscal Year Research-status Report
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19K16939
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田上 恵太 東北大学, 医学系研究科, 講師 (50813458)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | がん疼痛 / 神経障害性疼痛 / コルチコステロイド |
Outline of Annual Research Achievements |
オピオイド鎮痛薬が不能な難治性のがん疼痛への対応としては、本邦を含め全世界で鎮痛補助薬を使用されることが多い。その中でも使用頻度が多いコルチコステロイドは、腫瘍浸潤や圧迫による神経障害性疼痛を中心に、腫瘍の炎症による難治性のがん疼痛に広く使用されている。しかし、これまではその病態に関係なく臨床試験を行ってきた(有効とは思えないがん疼痛の病態も多く含んでいた)ため、その有効性を示すエビデンスは未だに乏しい。本課題の目的である「それぞれのがん疼痛の病態に沿った最も有望な薬物治療」に則し、我々の先行研究を基にしてコルチコステロイドが最も有効性を発揮しやすい痛みの病態に対象を絞り、その有効性を検証していくことになった。 2020年6月より全国症例の集積を開始(「がん患者における腫瘍に因る中枢神経障害および末梢神経障害が原因の痛みに対するステロイドの全身投与の有効性・安全性に関する多施設共同前向き観察研究」東北大学大学院医学系研究科倫理審査委員会2019-1-856)し、全国18医療機関の協力を得て、2021年度は症例集積を行った。2021年12月31日をもって症例集積を終了し、108例の登録があった。現在は解析作業を行っているが、腫瘍による中枢神経障害(脳腫瘍や軟髄膜播種、脊髄腫瘍など)、末梢神経障害(神経根症状、末梢神経障害など)ともに有効性を示すことが出来た。本研究の知見は今後、英語論文や学術大会で発表を行っていく。 さらに2022年度は本研究課題に沿った新たな前向き観察研究(化学療法誘発性神経障害性疼痛に対するトラマドールの有効性・安全性の検証試験)を行うこととなり、1年の延長を申請した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症診療体制の影響で、症例集積が滞った。
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Strategy for Future Research Activity |
現在コルチコステロイドのがんによる神経障害性疼痛への有効性を検証した前向き観察研究の解析を進めている。2022年度日本緩和医療学会学術大会での口演や英語論文化を予定している。
また本課題の趣旨に沿う、化学療法による神経障害性疼痛に対する鎮痛薬の前向き観察研究を新たに計画しており、1年の研究期間延長を申請し検証試験を開始する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響で、予定していた学術大会の参加がオンラインとなった。 また本研究は2022年度に延長申請を行ったうえで、本研究課題に沿った新たな前向き観察研究(化学療法誘発性神経障害性疼痛に対するトラマドールの有効性・安全性の検証試験)を行うこととなり、研究支援契約(研究進行・解析・EDC構築など)を結んでいる特定非営利活動法人JORTCと必要経費を新たに計算した上で、2022年度に契約費・予算を計上することとなったため。
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