2019 Fiscal Year Research-status Report
免疫チェックポイント阻害剤に対する治療応答性予測バイオマーカーの確立
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19K16945
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
雨宮 貴洋 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20778617)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | がん / 免疫チェックポイント阻害剤 / T細胞疲弊 / 個別化医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、免疫チェックポイント阻害剤の導入により、複数のがん腫において治療成績は大きく向上してきているが、治療応答性の良好な群と不良な群に分かれることが問題となっており、その全体像の解明には至っていない。本研究では、免疫チェックポイント阻害剤の直接的な標的となる免疫系の応答性にフォーカスして、免疫チェックポイント阻害剤に対する治療応答性予測バイオマーカーを探索することを目指している。具体的には、腫瘍局所においてT細胞は持続的な抗原刺激によって細胞膜表面にPD-1、LAG-3といった疲弊分子の発現が上昇し、T細胞が免疫疲弊状態(T細胞疲弊)に陥り機能不全状態となることから、T細胞疲弊と相関する因子を明らかにすることで、免疫チェックポイント阻害剤に対する治療応答性を説明することを目標とする。 初年度は、担癌マウスを用いたT細胞疲弊モデルの構築を行い、T細胞疲弊度を経時的に評価することが可能となった。また、倫理委員会の承認を経て患者リクルートを開始しており、血液検体の取得を進めている。さらに、バイオマーカー候補物質の同定のため、プロテオミクスに関する実験系の準備を開始している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
担癌マウスを用いたT細胞疲弊モデルの構築により、疲弊度と共に変化するバイオマーカー候補の抽出が可能となった。また、患者リクルートと血液検体の取得は順調に進んでいる。従って、in vivo、臨床研究ともに本研究目的に対して適切に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では、T細胞疲弊モデルの血液サンプルを用いてプロテオミクス解析を行い、T細胞疲弊と相関するバイオマーカー候補物質を網羅的かつ定量的に探索・同定する予定である。また、患者リクルートと血液検体の取得を継続し、治療応答の良好な群と不良な群に分類し、上記のバイオマーカー候補物質の同定が出来次第、測定を行う。その結果、ヒトにおいてT細胞疲弊度に基づき、免疫チェックポイント阻害剤に対する治療応答性予測バイオマーカーを説明できるかを検証する。さらに、プロテオミクス解析のバックアップとして、メタボロミクス解析やmiRNA解析についても併行して検討を進める予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により、本研究に関する実験を行うことができなかった時期があるため。令和元年度と同様、各種測定キットや細胞培養実験器具購入費用などの物品費として主に使用する予定である。
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