2020 Fiscal Year Research-status Report
血小板由来マイクロパーティクルの基礎的性状の解明と生体内の役割に関する研究
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19K16954
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
塩津 弘倫 九州大学, 医学研究院, 助教 (90625766)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | マイクロパーティクル / miRNA / 臨床検査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、血中を循環する小胞体の一種であるマイクロパーティクル(Microparticle ; MP)、およびMP内に存在する低分子非翻訳RNAの一種であるmicroRNA(miRNA)に関する基礎的性状の解明を目的とし、種々の基礎解析を進行している。 本年度は前年度に構築した巨核球誘導系を用いて、細胞の分化に伴う細胞内miRNA、MP内miRNAの変化に着目して解析を行った。血小板特異的に高発現であることが知られているmiRNAに関しては、細胞内では分化に伴って発現の増加を示した。一方で、分化を誘導する薬剤の濃度を報告されている上限まで上昇させ誘導を行ったところ、血小板特異的miRNAの増加は抑制され、濃度依存的に増加しないことを明らかにした。 MP内miRNAに関しては、細胞内miRNAの変化を反映して増加傾向を示したが、一部のmiRNAでは細胞内の増加に比し大幅な低値を示した。このことよりMP内に含まれるmiRNAは、MP内への移動に際して、セレクションにより選別されている可能性を示唆した。 また、細胞内で発現が上昇したmiRNAの標的となるmRNAの発現の減少について解析を行った。データベースに登録されたmRNAの3'側非翻訳領域の配列とmiRNAのseed領域の配列を照合し、miRNAが結合し制御する可能性の高いmRNAを数種抽出して、定量解析を行った。本年度は抽出されたmRNAのうち、AKT3やvWFといった動脈硬化や凝固に際し変動するmRNAに関して定量解析を行ったところ、これら2種のmRNAは細胞内およびMP内の両方で変化を認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1. 誘導系の実験頃のばらつきの存在 前年度に構築した誘導系を用いた実験を行ったところ、誘導による細胞数の抑制や細胞膜表面の膜タンパク陽性率の変化にばらつきを認めた。その改善に実験期間を要したため、研究の進行にやや遅滞が生じた。 薬剤添加のタイミングや濃度を変更し、培養液全体に占める割合などを再調整したことで上記のばらつきは改善した。 2. 細胞内およびMP内miRNA解析について 誘導系を改善したところ、各実験において細胞内およびMP内miRNAは安定して回収、解析が可能であることを確認し、解析を実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
誘導によるMP内に存在するtotal miRNAに関しての解析を実施したため、次年度の解析では誘導したMPを利用した共培養や実際に活性型であるmiRNAの定量を行い、MP内imRNAのもつ機能に関してより詳細な解析を実施したいと考える。
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Causes of Carryover |
今年度では細胞株を利用した実験が主であり、次年度以降のMP機能解析に用いる試薬が高価であり、次年度での使用が適切であると考えられたため。
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