2021 Fiscal Year Annual Research Report
血小板由来マイクロパーティクルの基礎的性状の解明と生体内の役割に関する研究
Project/Area Number |
19K16954
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
塩津 弘倫 九州大学, 医学研究院, 助教 (90625766)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | マイクロパーティクル / miRNA / 臨床検査 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト血中には多数のマイクロパーティクル (Microparticle : MP) が循環しており、生体内の様々な生体現象に関与している。本研究では、MP内microRNA (miRNA) に関する基礎的性状の解明を目的とし、解析を行った。 昨年度までの検討で、MP内のmiRNA発現は細胞内遺伝子発現の影響を受けて変化することが示唆されたため、今年度は臨床検体を対象とし、血中MPと病態の関連について解析を行った。今年度は、MPと関連が深い凝固に焦点をあて、血栓症である深部静脈血栓症患者 (Deep vein thrombosis : DVT) および、健常群ボランティアから得られた血漿を対象に解析を行った。本研究は熊本大学大学院生命科学研究部ならびに九州大学医系地区倫理審査委員会の許諾を得て実施した。 フローサイトメトリーを用い、MPの粒子径を解析したところ、DVT群、対照群ともに約200-1,000nmに分布し、MP数および粒子径共に両群に有意な変化を認めなかった。網羅的解析では、解析した2,632種のmiRNAのうち、952種のmiRNAを検出した。得られた結果より、DVT群で特異的に変化したmiRNAを抽出したところ、特に発現変動が大きかった上位10種のmiRNAのうち、DVT群で増加を示したmiRNAは2種、減少を認めたmiRNAは8種であった。RT-qPCRを用いた定量的解析でも同様の傾向を示し、網羅的解析の結果を裏付けることを確認した。以上のことより、DVT患者の血中MP内には特異的なmiRNAプロファイルが存在し、バイオマーカーとなる可能性が示唆された。
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