2019 Fiscal Year Research-status Report
エクソソーム、炎症マーカー、遺伝子の解析による糖尿病における認知症発症の病態解明
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19K16968
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
松原 正樹 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医師 (10794571)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 2型糖尿病 / 血糖変動 / 認知症 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病患者では認知症のリスクが倍増することが知られている。これまでの大規模臨床研究のサブ解析の結果などから、HbA1cを低下させるだけでは認知症の発症予防が不十分である可能性が示唆されており、また重症低血糖による認知症増加は明らかであるが、軽症あるいは中等度の低血糖と認知症との関連は明らかでない。最近の横断研究で血糖変動と認知機能の関連が示唆されており、血糖変動に注目して認知症発症予防を目標とした新しい血糖指標を確立することが重要と考えられる。また糖尿病患者における認知機能低下に対する新規バイオマーカーの探索も必要と考えられる。近年、エクソソーム解析を用いた脳神経の病態解析が注目されており、また炎症・APOE・TREM2などが認知機能低下に関与していることが示唆されている。本研究では、高齢2型糖尿病患者において、血糖補正不要の持続血糖測定機器を用いた血糖変動、認知機能試験、エクソソーム解析、炎症マーカー・APOE・TREM2の測定を世界で初めて縦断的に行うことで、糖尿病患者の認知機能低下と関連する血糖指標やバイオマーカーを明らかにし、糖尿病の認知症発症の病態を解明することを目的とする。 本研究は2年間の縦断研究であり、初年度に該当する2019年度は患者登録を行った。具体的には、①国立循環器病研究センター通院中の2型糖尿病患者、②65歳以上、85歳以下、③インスリン、SU薬、グリニド薬のいずれかを使用している、あるいはHbA1c 7.0%以上でその他の経口血糖降下薬かGLP1受容体作動薬を使用している、④甲状腺機能低下症やビタミン欠乏症などのtreatable dementiaを認めず、Montreal Cognitive Assessment(MoCA)17-25点(軽度認知障害に該当)、以上の①から④の全てを満たす患者に対して、文書による説明を行い同意を得て、合計99名の患者登録を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は2年間の縦断研究であり、脱落を考慮して1年間で約120名登録することを目標としており、進捗はやや遅れている。 なお参考までに、事前に行ったサンプルサイズ計算では、α=0.05、power 0.90でN=76、power 0.95でN=92がそれぞれ必要となる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定では、登録期間を2020年3月までとしていたが同年6月までに延長している。 ただしCOVID-19感染症の拡大のため、受診や検査を控える例を認めており、さらなる延期が必要かどうか検討中である。加えて、登録時、1年後、2年後に持続血糖測定機器を用いた血糖変動、認知機能試験(主要評価項目)などを評価予定であるが、同感染症のため1年後の評価が行えない例が出てくる可能性も考えられる。その場合、当センター循環器病統合情報センターと相談の上で、1年後のデータは欠損として扱う方針とした。
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Causes of Carryover |
炎症反応マーカーなどの外注検査は、登録時に血清サンプルを凍結保存し、登録期間が終わった時点でまとめて発注予定としているため本年度は費用が発生しなかった。
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